「ねえねえ、あなた困っていることがあるの」
妻が日常で遭遇し困った出来事を、夫に話そうとします。
「どうしたんだい?」
夫は妻の話に耳を傾けます。
その状況を客観的にみてみましょう。
「今日、買い物でスーパーのレジで並んでいたら、レジの人が鈍くていらいらしたの」
困っている話だから相談かと思っていると、実は単なる愚痴になっている場合があります。
こういうとき夫としては「へえ、大変だったね」くらいしか返事ができません。
別に話を聞いているわけではありません。
わざと冷たく返事をしているわけでもありません。
話を聞いてはいますが、愚痴はぶっきらぼうな返事くらいしかできません。
会話が成立しているようで、成立していない。
もちろんたまには愚痴の会話もいいですが、油断すると「愚痴ばかり」になってしまうので要注意です。
愚痴は出口がありません。
妻ばかりが話をすることになり、会話に出口が見えないので、夫はだんだんいらいらしてきます。
話を聞いて、余計に疲れてしまいます。
返事もさらにぶっきらぼうになり「ふん」「へえ」「ああ」「ほお」「はあ」となります。
どこかの変わった鳴き声をする未知の動物みたいになります。
ついには、返事すらしなくなります。
厄介なことに、そんな状況で、さらに妻は不満を持ちます。
「夫が私の話を聞いてくれない!」
「真面目に話を聞いているの!」
「返事がない!」
なかなか難しい問題ですね。
別に夫は、妻の話を無視しているわけではありません。
ただ「愚痴」というテーマでは、どう返事をしていいのか困ってしまう。
そこであなたに質問です。
夫が話をなかなか聞いてくれないのは、話がいつも愚痴になっているからではありませんか。
愚痴は聞きづらく、返事もしにくいし、しかも聞いていて疲れるばかり。
夫としては、話に耳を傾けにくい。
そこでいい方法があります。
会話の冒頭に、次の一言を加えてみましょう。
「ちょっと相談があるの」
この一言に、夫は強く反応を示します。
たとえば、先ほどの例で考えてみましょう。
「ちょっと相談があるの。今日、買い物でスーパーのレジで並んでいたら、レジの人が鈍くていらいらしたの。どうしたらいい?」
話の内容は、ほとんど同じです。
しかし、急に先ほどと話の雰囲気が変わりましたね。
妻は、夫に話しかけるときは「愚痴」としてより「相談」として話しかければ、スムーズに進みます。
夫の立場からすると、相談のほうがテーマはあり、話が聞きやすくなります。
しかも妻から頼りにされていると感じますから、自尊心をくすぐられます。
夫は解決策を考えるために、妻の話を真剣に聞くようになります。
「どういう状況だったの?」「人はどのくらいいたの?」と夫から妻に質問して、会話が成立しやすくなります。
「相談」として話しかければ、会話らしい会話が成立しやすくなります。
会話はキャッチボールが基本です。
「話をする」と「聞く」のバランスが必要です。
相談として話しかければ、会話のバランスが取れやすく、妻は問題点を解決しやすく、夫は自尊心をくすぐられるのです。