私はこれまで、叱られた経験は、山ほどあります。
子どものころは両親から毎日のように叱られ、学生時代も先生からはよく叱られていました。
社会人になって新人時代も、ほかの人よりよく叱られていた気がします。
叱る意味を、はき違えている人がいます。
落ち込ませるために、叱る人がいます。
「ばかやろう」
叱るタイミングは、ミスをした瞬間に叱ることです。
「後からまとめて指摘すればいいか」と思う人もいるでしょう。
ミスをしている部分が多いと、そのたびに指摘しなければいけなくなります。
叱るときに注意したいのは、叱るときの環境です。
大勢の前で叱っていないでしょうか。
大勢の前で叱られると、叱られた人の落ち込みが強くなります。
新人時代のある日、上司が私にこっそり言いました。
「水口君、ちょっといいかな」
私は誰もいない場所に呼び出されて、仕事のある部分について指摘を受けました。
あまり大きな声では言えませんが、私が新人時代に出会った上司の1人にとんでもない上司がいました。
「機嫌が悪い」というだけで叱ります。
たまたま、朝、何か気分が悪くするような出来事があったのでしょう。
一般的に、叱る側の人間は「立場が高い」。
両親・先生・上司です。
叱る側は悪い部分を見抜けるだけの力があるだけあり、経験が豊富で能力も高いです。
私はリーダーになったばかりのころ、失敗をした経験が1つあります。
「あっ!」
部下が間違ったことをしたと思った瞬間に、すぐ指摘をしました。
学生時代思い出すお説教は、日が暮れるまで先生から叱られた経験です。
小学6年生のころのある日の放課後です。
みんな「さようなら」と下校しているのに、私はずっと叱られていたことがありました。
叱りたいことが、複数あるときがあります。
指摘が1つだけならいいですが、複数見つかる場合があります。
気になった点がいくつかあるとき、同時にいくつも伝えようとするとうまくいきません。
昔の失敗をいつまでも引っ張る上司がいました。
悪いところがあったときに叱るのはいいですが、いつまでも引っ張るのはよくありません。
「あのときの失敗を覚えているか」
叱るときに持ち出してはいけない内容があります。
「相手の人格を否定する内容」です。
個性・性格・顔形・生まれ・育ちなどです。
あなたがにこにこすれば、相手もにこにこします。
あなたが怒れば、相手も怒ります。
人間関係には、自然と「鏡の法則」が働いています。
ある日私は、古本屋で見知らぬ人から急に指摘を受けたことがありました。
立ち読みをしているとき、私のバッグがいつの間にか本の上に乗っていました。
貴重な古本の上に、カバンを置くのはいけないとわかっていました。
よくない叱り方の1つに「他人との比較」があります。
あなたは誰かと比較されて気分を悪くしたことはありませんか。
「同僚のAさんはできているのに、あなたはなぜできないの」
ときどき相手を追い込むような叱り方になっている人を見かけます。
相手を追い込むような叱り方になっていませんか。
「どうしてくれるんだ」
いきなり頭ごなしに叱られると、誰でも頭にきます。
初めが「否定」から始まっています。
耳をふさぎたくなるような否定から始まるので、後に続く言葉も、受け入れにくくなります。
私の職場に、叱るのが上手な上司がいます。
ちなみに「うまい言い方だな」と逆に感動した言葉でもあります。
その上司は叱る前に、ある一言を言います。
「○○はいけないことだよ」
間違った指摘だけをするのは、下手な叱り方です。
その理由を言っていないからです。
お説教の後は、気まずい雰囲気が漂います。
たとえば、1時間説教されたとします。
1時間もお説教をされると「悪いことをしてしまった」という印象が強くなります。
「叱る」という言葉を聞いて何を連想しますか。
・怖い
・圧力
私が中学3年生のころの担任は、岡田先生という男性教師でした。
普段は、優しい先生でしたが、ある日、ひどく叱られたことがありました。
「優しい先生ほど怒るときは怖い」と言いますが、まさにそれです。
私がアパートに住んでいたころ、真下の部屋の騒音に大変悩んだことがありました。
なぜか、私が引っ越すアパートでは、隣近所がうるさい。
深夜の2時くらいに、大声で歌を歌っている女性もいました。
相手の険しい表情。
強い口調。
緊張した雰囲気。
「しなさい」という言い方は命令です。
とげがあり、厳しくて圧力があり、緊張します。
また命令口調で言われると、むっとする人もいるでしょう。
叱るときは言いたいことがたくさんあるため、次々と言葉を並べがちです。
上司から部下へ、一方的な会話になりがちです。
私も部下を叱ったことがあるので、その気持ちがよくわかります。
叱るのは面倒です。
叱るような場面をできるだけ作りたくない。
そこで上司は仕事をする前に、部下にこう言います。
「絶対に間違えるな。失敗するな」と言われると、部下は余計に緊張します。
逆に失敗しやすくなるので、言わないほうがいい。
ミスをするなと言われると、逆にミスをしているところばかり考えてしまうのでよくありません。
七福神の1人「恵比寿様」は、いつもにこにこしています。
にこにこしているから、すべての言葉がありがたく聞こえてきます。
「あなたのことを考えているから言っているのですよ」という愛を感じます。
叱るときには、感情的になりやすいです。
どんなに感情的になっても、叱るのは言葉だけにしておきましょう。
ときどき言ってもなかなか聞いてくれない人がいます。