ある日私は、古本屋で見知らぬ人から急に指摘を受けたことがありました。
立ち読みをしているとき、私のバッグがいつの間にか本の上に乗っていました。
貴重な古本の上に、カバンを置くのはいけないとわかっていました。
しかし、面白い本を夢中になって読んでいると、時を忘れたり、自分の持ち物への気がそれてしまったりすることがあります。
その結果、私のバッグがいつの間にか本の上に乗っていました。
そのとき、40代くらいの知らないおじさんがそっと私のそばにやってきて言いました。
「本の上にカバンを置かないほうがいいよ。本が汚れちゃうから」
実に腰を低く丁寧な言い方が印象的でした。
「おっと、これはいけない」と思い、すぐ本の上からカバンをどけました。
大変腰が低くて、丁寧な態度だったので、すんなり受け入れることができました。
「素晴らしい指摘だったな」
指摘されたことに感謝をしました。
もしあのとき、偉そうな態度だとしたら、こうもいきません。
「ばか! 本の上にカバンを置くな! 死ね!」
自分が悪いことはわかっていても、偉そうな態度で乱暴で威圧的に言われてしまうと、素直に聞き入れにくいです。
「言い方」は大切です。
特に叱るときには相手の気分を害してしまいがちだからこそ、態度に注意です。
指摘するときに、つい厳しい態度になってしまいがちです。
しかし、叱る側に必要なのは、気分を害さないよう腰を低くして、丁寧に伝える努力なのです。