優れた上司は、仕事が一番できる人材と思われます。
たしかに優れた技術や豊富な知識を持ち、人生経験が豊かな人が多いです。
取引先との交渉も、やはり経験のある上司がすれば、多種多様な話に対応できて、一番うまく進みます。
まず、私の職場であった上司の失敗例を紹介します。
実際にあった話です。
Kさんという50代前半の男性の上司がいました。
人望のある上司ほど、挨拶が早いです。
誰より早く、挨拶をします。
漫画で描かれているような、部下から挨拶されるまで挨拶をしないような偉そうな上司は、現実にはいません。
人望のある上司になろうと、偉そうなことを言う人がいます。
偉そうなことを言えば、格好がついて上司らしくなります。
そういう偉そうなことを言って、ふんぞり返れば、部下から人望を集めることができるだろうと思っています。
人望を集める上司は、部下に夢を与えるのが上手です。
部下は夢を持ちたいと思っています。
「仕事に夢を持って自分を向上させたい」「明るい未来につなげたい」という希望があります。
部下から人望を集めるために、往々にしてしまいがちな上司の仕事は「説教」です。
それも、長々とした説教です。
部下を教育するのは、たしかに仕事の1つですが「言い方」によります。
上司は、部下に仕事をお願いすると、少なからず心配します。
仕事がきちんとできるかという不安は、どんな上司もあります。
全体を管理する上司としては、その気持ちはあって当然であり、不思議なことではありません。
上司は、知識で部下に勝とうとしてはいけません。
知識の吸収や習得は、若い新人のほうが、圧倒的に有利だからです。
上司が偉そうに知識の豊富さを自慢できるのは、最初だけです。
人望のない上司は、とりあえず部下をあらゆる会議に出席させます。
会議に出席することが、仕事だと思っているからです。
「会議に出席する」といえば、ひとまず仕事としての格好がつきます。
部下に一言、相談があるかないかは、人望に影響します。
部下に相談もなく独断で決めると「身勝手な上司」と呼ばれるでしょう。
もちろん部下に相談しても決められないことや、相談するべきではない機密事項もあるでしょう。
私は上司を務めていて「上司の仕事とはつくづくジグソーパズルだな」と痛感することがあります。
子どもが遊びでしているジグソーパズルより、さらに本格的で難易度の高い物と思えばいいでしょう。
多くの部下を持って、それぞれと接していると、だんだん部下の性格がわかってきます。
人望のある上司は、腰が低いことが特徴です。
何でも話を謙虚に受け止め、話を折りません。
仕事をお願いするときにも「お願いします」という一言を言いながら頭を下げます。
西洋には、こんなことわざがあります。
「魚を与えれば、その人は1日飢えないでいられる。魚の捕り方を教えれば、その人は一生飢えないでいられる」
上司が部下に与える一番の報酬は、お金でも地位でもありません。
きれいな職場環境が重要であることは、どの職場でも共通です。
掃除が大切だと言うことは、今さら言うことでもありません。
デスク周りはもちろんのこと、社内の掃除は日課であり、仕事を効率よく進めるうえでの基本中の基本です。
人望のある上司は、部下を責めません。
どんな人間でも失敗はあります。
失敗をするのが人間であり、不思議なことではありません。
あなたは部下の話を最後まで聞いていますか。
嫌われる上司は、部下の話を最後まで聞きません。
部下の話を聞きながら、話の内容がだいたいわかれば「それね。それはね……」と部下の話を折り、自分の話を始めてしまいます。
上司が部下に指導をするとき、まずしてしまいがちなのは「部下の欠点を指摘してしまうこと」です。
悪いところがあるから、悪いところを指摘するのは、ついしてしまいがちです。
特に日本企業には、多い指導方法です。
「最悪だ!」
「何度言ったらわかるんだ!」
「この前も同じ失敗をしたじゃないか!」
本当に素晴らしい上司とは、同じことを何度でも言える上司のことです。
部下に教育をしていると、物覚えが悪い部下にあたることがあります。
そんなとき「さっき言っただろう!」「物覚えが悪いな!」と頭ごなしに叱りたくなりますが、ぐっとこらえます。
素晴らしいチームワークには、明確な役割分担が必要です。
部下と上司の役割分担は、しっかりしているほど、それぞれの仕事に専念でき、ことがスムーズに進みます。
しかし、熱心な上司ほど、つい部下の仕事に手を加えてしまいそうになることがあります。
部下は、上司のために働くものだと思っている上司は、部下から嫌われます。
そう考えている上司の態度は、自然と偉そうで横柄になります。
そうではなくて、部下のために働く上司になります。
報告・相談・連絡は、仕事の基本です。
報告・相談・連絡の略語であり、仕事を進めるうえで欠かせない基本3要素です。
上司は部下に対して「報告・相談・連絡をきちんとしなさい」とよく言います。
本来、大きな仕事の責任は、すべて上司が背負います。
上司は、仕事の窓口です。
上司を通して仕事が入ってきて、入ってきた仕事は部下に割り振られます。
人望のない上司は、自分が間違っていたとわかっても、謝りません。
自分より地位の高い人には謝りますが、地位の低い人には謝りません。
謝ることは負けることだと思い込み、プライドが許しません。
私は、子どもを見れば、親がどんな人なのかだいたいわかります。
難しいことではありません。
あなたにも、できるはずです。
「仕事を予想すること」は、上司の仕事の1つです。
特に、尊敬される上司になるために大切な条件の1つです。
仕事で部下より豊富な経験を持っている上司だからこそ、多種多様な未来を予想できます。
上司より経験の浅い新人は、意見を求めたとき、的外れな意見を言うことがあります。
いえ、仕事のできる上司からすれば、新人の意見はどれも的外ればかりでしょう。
「新人に意見を求めても、鋭い発言が出ない」
日本人は、変更が苦手な民族と言われます。
私が海外に留学しているとき、アメリカ人向けに日本人について説明された本がありました。
もちろん中身は英語です。
上司の仕事は「常に改善を考えること」です。
「問題なく終わった」ではなく「さらに効率よくできないか」と改善を考えます。
仕事が終わって「ああよかった」と安心すれば、次に「もっと効率よくできないか」と、頭をひねってみましょう。
努力や知恵のない上司は、できない部下を切り捨てます。
初めから仕事のできる、即戦力のある部下を求めようとします。
それは簡単にできても、してはいけません。