犬を飼えば、家庭の中が賑やかになります。
1人家族が増えたように、会話が増え、成長の喜びを感じる機会が増えることでしょう。
そうしたいい点ばかりを見て、犬を飼おうとする人も多いのではないでしょうか。
犬を飼うのは簡単です。
しかし、飼い続けるのは単純な話ではありません。
「ただ餌をやるだけ」
「散歩をするだけ」
たしかに餌を与えたり、散歩をしたりするのも飼い主の仕事ですが、もう1つ忘れがちなことがあります。
大切な義務も発生します。
「しつけ」です。
特に犬は、人が飼うペットの中でも、吠える声が大きく、噛む力が強く、走るのが速い動物です。
飼い主の立場ではなく「犬に吠えられる立場」になってみましょう。
道を歩いていると、見ず知らずの飼い主の犬が、大声で吠えてきたり飛びかかってこようとしたりすれば、誰でも驚きます。
飼い主が一瞬油断して、リードが手から離れた瞬間、噛みつかれて大けがにつながれば大変なことになります。
噛んだときに悪い菌が、傷口から侵入して、狂犬病になることも考えられます。
考えたくはありませんが、犬が噛みついて人を死なせてしまうケースも耳にします。
また、自分の家の庭に、他人の犬がおしっこや糞をするのをどう思うでしょうか。
庭を犬の排泄物で汚されれば、誰でも不快な気持ちになるはずです。
いくら動物の自然の行為とはいえ、いい気持ちはしませんね。
トラブルの原因になるでしょう。
もし、犬が野生の中だけで暮らすなら、こうした自由奔放な生き方でもいいでしょう。
獲物を捕まえるためにあちこちを駆け巡り、大声で吠えたり、好きなところでおしっこや糞をしたりしても問題ありません。
しかし、これからは人のいる人間社会の中で、飼い主と一緒に暮らすことになります。
人のいる部屋の中で住み、人のいる公共の公園、道路、施設などを飼い主と一緒に散歩することになります。
多くの人がいる社会の中でトラブルなく生きていくためには、人に迷惑をかけないための最低限のしつけが必要です。
犬の自由を尊重させつつも、トラブルは避けるようにしつけていきます。
そうした点から考えると、もはや「飼い主の犬へのしつけは義務」と言っていいでしょう。
犬を飼い始めれば「餌だけ与えていればいい」という問題ではありません。
子どもを産めば「教育の義務」が発生するように、犬を飼い始めれば「しつけの義務」が発生します。
人のためでもありますが、犬のためにもなります。
しつけがしっかりされた犬は、人が近づきやすくなり、多くの人からも愛される機会も増えるはずです。