犬には、自分がした糞を食べる「食糞」という習性があります。
初めて見た人は、強い衝撃を受けると思います。
犬が飼い主の顔をなめようとじゃれてきたら、口から糞のにおいがした。
そんな度肝を抜かれる経験を持つ飼い主も多いことでしょう。
じゃれてくるのは嬉しいですが、糞のついた口で近づかれると、いくら飼い主とはいえ、引いてしまいます。
なぜこの習性があるのか。
いくつか理由があります。
糞の中には栄養分がまだ残っているので、おなかがすいていると、つい食べたくなってしまうようです。
そのほか「興味本位」「暇つぶし」「ストレス」などが原因で口にしていることもあります。
この食糞をやめさせる方法は、世間に数多くあふれています。
しかし、飼育書の中には、食糞をやめさせようとする方法で誤った方法を勧めているものがあります。
「こら! そんなものを食べてはいけません!」
食糞をしたら、叩いたり大声で叱ったりすればいいと書いている飼育書をときどき見かけますが、いい対策ではありません。
叩くと、犬は余計にストレスになりますし、飼い主のことが嫌いになる可能性があります。
そのストレスが原因で、余計に食べてしまうこともあります。
逆に、飼い主が大声で叱ると、犬は「食べて褒められた」と勘違いすることもあります。
食糞をさせないようにしているしつけのつもりが、逆に食糞を促すようなしつけになっている場合もあります。
食糞は、飢餓をしのぐためにある栄養再吸収の習性と言われます。
事実、糞を食べるのは、おなかがすいているときによく見られます。
では、ご飯の量を増やせばいいのではないかと思います。
たしかにご飯の量を増やせば、おなかはいっぱいになるので糞を食べるのをやめる場合があります。
しかし、これはあまりすすめられる方法ではありません。
ご飯を十分に与えすぎると、今度は肥満の原因になるからです。
肥満になると、糖尿病や肝硬変などの健康問題が発生する可能性があります。
犬が糞をしたら、飼い主はすみやかに片付ける方法もよく見られる対策方法です。
悪い方法ではありません。
しかし、ベストの対処でもありません。
たしかにこの方法なら、犬は糞を食べようにも食べられません。
糞をして、飼い主がすぐ片付けてしまうなら、食べようがありませんね。
しかし、これを続けようとするなら、飼い主がいつも犬のそばにいなければならなくなります。
飼い主は、外出することもありますし、糞をするタイミングをいつも気にしていなければいけません。
そうした気にかける作業を、常に続けるのは大きな負担ではないでしょうか。
いかがでしょうか。
もし、やめさせるつもりで上記のような対策をとっているなら、見直す必要があります。
一見すれば問題ないような対策ですが、突き詰めて考えると、別の問題点が浮上するのです。