ある夏の日のことです。
蒸し暑い日だったので、飼っている犬であるクッピーの体を洗ってやろうと思いました。
水とボディーソープを使って、体をごしごし洗ってあげて、気持ちよさそうにしていました。
洗っている間は、クッピーは気持ちよさそうな表情をしていたので「喜んでもらっている」と思っていました。
体を洗い終わって、タイルで拭いた後、クッピーは驚くべき行動に出ます。
なんと、地面に体を押し付けて、せっかくきれいにした体をまた汚そうとします。
せっかく体を洗ってあげた意味がありません。
「ああ! せっかく洗ったのに! なぜ?」
飼い主の苦労を台無しにするような行動です。
一生懸命に体を洗った飼い主としては、自分の苦労が台無しになり、つい叱ってしまいそうになります。
実はこうした行動は、今回に限らず、いつもです。
あなたも同じ経験があるのではないでしょうか。
実は、犬は人と違い、体臭がない状態を嫌います。
少しくらいは体がにおっているほうがちょうどいい。
犬にとって体のにおいは、自分の身分証明の役割を果たすためです。
体をきれいにするのは、そんな身分証明をなくしてしまうのと同じであり、大変嫌がります。
体をきれいに洗った直後は、においを取り戻すために体を汚すような行動に出ようとします。
大切なことは「そういうものだ」ということを飼い主が理解することです。
もし飼い主の性格が潔癖症の場合、においを気にして、犬の体を洗う回数も多くなるでしょう。
むしろ、頻繁に体を洗ってあげるほうが問題になる場合があります。
体の皮脂が過剰に取れてしまい、皮膚トラブルを起こす原因になるからです。
せいぜい、1カ月に1回です。
夏場なら、もう少し間隔を短くしてもいいですが、体を洗うことにそれほど神経質になる必要はありません。
飼い主が考えるほど、犬は体臭を気にしておらず、またにおいのない体を嫌がるものなのです。