節約といえば、マイナスのイメージが目立ちます。
我慢、辛抱、苦しみなどです。
暗い印象は、失うことばかり見ているからです。
節約によって得られることに目を向けると、実際、楽しく感じるものです。
支出を極限まで抑える工夫は、ゲームです。
人間は慣れてくると、我慢による苦しみの感覚さえ、麻痺してきます。
私が社会人になったころ「こんな浪費生活ではいけない!」と一念発起して、徹底的な節約を始めた時期がありました。
部屋の中の無駄な物は、徹底的に一掃したことがあります。
一度部屋の中を見渡し「使っていないもの」「なくても生きていけるもの」は、惜しみなく捨ててしまいました。
どれくらい捨てたかというと、ほとんどの物です。
冷蔵庫を捨て、テレビを捨て、電子レンジを捨て、テーブルを捨て、お風呂を捨て、ベッドを捨て、必要のない服を捨てました。
当時は、10畳ほどあった部屋から、風呂なし畳4畳半の部屋へと引っ越しました。
部屋のものはすっかりなくなり、部屋の広さも半分以下です。
何もない生活になりましたから、電気代も半分以下、水道代も半分以下、ガスは使っていないので0円。
家賃も68,000円から29,000円になり、半分以下となり、大きな変化でした。
もちろんすべてが順調だったわけではありません。
突然の生活の変容ぶりに、初めは我慢の連続でした。
「狭いなあ。苦しいな。貧乏くさいな」と思った時期もありました。
しかし、人間は慣れる生き物です。
1カ月も経たないうちに、私はその「何もない生活」に慣れてしまいました。
今では、普通に感じるようになりました。
どんなへんぴなところでも、住み慣れてしまえば、住みよいと感じてしまうものです。
当時は狭いと感じた4畳半さえ、今では広く感じてしまうようになりました。
部屋に何もないと、4畳半でも広く感じます。
「ものがなくても、人間、生きていけるものだ」と、のんきに思ったものです。
一番嬉しいのは、お金のことです。
支出が大幅に減ったので、残高が減っていく生活から、増えていく生活へと好転し始めました。
金銭的な余裕ができたことで、物質的制限はあるものの、かえって精神的自由が増えたのです。