「いちいち美術館に行かなくても、ネットで見たら十分じゃないか」と言う人がいます。
たしかに作品の様子を確認するだけなら、ネットは便利です。
作品を鑑賞することも、詳しい説明を読むこともできます。
足が疲れる心配もなく、開館時間・閉館時間も関係ありません。
しかし、ネットで確認できるからといって、そこで満足しないことです。
そこにあるのは「平面画像」です。
絵の具の盛り上がりも確認できません。
本物とディスプレイに映った画像は、同列に並べることはできず、完全に別物です。
どんなに美しい作品であろうと、どれだけ素晴らしい名作であろうと、しょせんディスプレイに映った画像にすぎません。
ネットだけでは、十分な美術鑑賞ができないのです。
きちんと美術鑑賞をするなら、やはり美術館に足を運びたい。
本物を直接鑑賞することで、作品のリアルを楽しめます。
ネットで見るのと、実際に本物を見るのとでは、受ける印象はまったく違います。
絵画であれば、作品の素材や質感などがよくわかります。
実際に生で見てみると、影の様子や絵の具の盛られ方など、立体的な様子を楽します。
正面だけでなく、いろいろな角度から楽しめます。
近くで見たり遠くから見たりできます。
作品と直接対峙することで、言葉では表現できないものが伝わってくるのです。
本当に美術鑑賞を楽しむなら、やはり自分の目で直接本物を見るのがベストです。
美術鑑賞は、一種の体験です。
時間もお金も労力もかかりますが、それだけの価値は十分あります。
心から感動するためにも、しっかり記憶に焼き付けるためにも、美術館で本物を鑑賞することが大切なのです。