高校2年生のときの担任は、米井先生という英語を担当する男性教師でした。
米井先生はとても厳しい先生でした。
怒るときには、大きな声で隣の教室まで聞こえるような声で怒鳴ります。
しかし、米井先生が怒るシチュエーションは、少し変わっていました。
「テストで悪い点を取ったとき」ではありません。
テストで悪い点を取ったときは「次から頑張れ」で終わります。
米井先生が本当に怒るのは「テストの答案用紙に空白があるとき」でした。
生徒の中には、知らない問題は答えの書きようがないと思い、空白のまま答案用紙を提出する人がいます。
これを、米井先生はひどく嫌いました。
「運も実力のうち」
そう断言していました。
「どんなにわからなくてもいいからとにかく空欄を埋めろ! テストの点数には運も含まれている」
たとえ、たまたま偶然で正解したとしても米井先生は「運も実力のうち」と言って許してくれます。
空欄でテストを提出する生徒がいるたびに怒鳴ります。
米井先生からの教えを受けて、私の場合、見当の付かない問題が出ても、とにかく空欄は埋めるようになりました。
適当でもいいし、勘でもいい。
空欄は確実にゼロですが、何か書けば、正解する可能性はあります。
場合によっては部分点をもらえることもあるでしょう。
たまたま正解でもいい。
運も実力のうちなのです。