タンポポのタネは、風に乗ってふわりふわりと飛んだ後、地面に着陸します。
空中に乗って飛ばされた、生まれたばかりのタンポポのタネは、まず土を求めます。
土がなければ、自分の居場所を固定することができず、不安定になるからです。
土に着陸すれば、次に水を求め始めます。
水がなければ、芽を出すことができず、成長ができません。
土に埋まっているタネが成長するために次に必要なのは、水しかありません。
ところが、芽を出せば、次は日光を求めます。
日光がなければ、光合成ができず、成長ができません。
日光を浴びて初めて成長します。
これが花の成長です。
単なる成長に見えますが、客観的に見ると、そのときどきで求めていることが変わっていることにお気づきですか。
成長に応じて、そのとき求めるものが変わってくるのです。
成長するから、変わるのです。
これは、人間にもよくある話です。
「以前は日本史が好きだったのに、だんだん世界史も好きになってきた」
「昔は外見重視だったのに、最近は内面重視になってきた」
「音楽を聴くのが好きだったけど、最近は何だか音楽を作りたくなってきた」
「昔はもっと荒っぽい性格だったのに、最近は丸い性格になってきた」
このように、自分の考え方、求めること、やりたいことが変わってくることがあります。
「考えがしっかりしていない」「ころころ気が変わる人」と、侮辱する人がいますが、実は逆です。
成長ができている証拠なのです。
成長するにつれて、そのとき求めることも変わってくるのです。
さらに成長するために、求める対象が変わっただけの話。
成長するから視点が高くなり、見える景色が変わったのです。
求めることが以前と変わらない人は、何も成長していないということです。
私はたくさんの作品を書いていますが、いつも同じ気持ちで書いているわけではありません。
恋愛に悩んでいるときは、恋愛の本ばかりを無性に書きたくなります。
恋愛に悩んでいるときに一番求めていることは、恋愛の解決法です。
そんなときに恋愛系の本を書くと、ピアノを弾くように指が動きます。
自分が今悩んでいるだけに、気持ちの表現がうまくなり、文章が具体的になります。
問題解決への姿勢が真剣になっていますから、本が書きやすいのです。
恋愛問題が解決されれば、次には、ほかのことを書きたくなります。
仕事でリーダーを務め、部下とのやりとりや仕事に悩んでいるときには、リーダー系の本を書きたくなります。
リーダーの本を書くときには、自分がリーダーになっている気持ちになって書かなければなりません。
リーダーの気持ちになれるのは、実際に自分がリーダーになって悩んでいるときです。
実体験を通して得られた経験から書く文章は、自分で読んでも面白い内容になります。
友人関係で悩んでいるときには交友関係の本を書き、家族に悩んでいるときには家族に関する本を書きたくなります。
実際、そのとき書きたい気持ちに任せて行動すると、成長が早い。
そのとき一番求めているテーマであり、成長ですから、吸収力が強いのです。
問題が解決されれば、次の成長を求めようとするのです。