私は読者から相談を受けるとき「一生懸命になったほうがいい」というアドバイスをしています。
具体的な行動内容は相手に任せるとして、方針としては「一生懸命」が大切です。
一生懸命になったとき、結果はどうであろうと、必ず成長があるからです。
実際にあった私の体験談を紹介します。
漢字検定2級の勉強をしていたときです。
忙しい時間をやりくりして、勉強の時間を確保していました。
平日だけでなく、休日も漢字だけの勉強に集中して、その結果、漢字検定2級合格という経験があります。
郵便局から「2つ折りにできないため、ポストに入らない。郵便局まで取りに来てください」と通知書がポストに入っていました。
「2つ折りにできない。もしや……」と、期待を膨らませながら郵便局に向かい、手渡されたのは大きい封筒でした。
待ちきれず、郵便局の中で封を開けると、そこには大きい合格証書!
私はあまりに嬉しくて、郵便局の中で両手に合格証書を持ち、10分ほど嬉しい感情に浸っていました。
郵便局員には、怪しい人に映ったことでしょう。
一生懸命に勉強した後の、合格証書は言葉では言い表せないくらい格別に嬉しいのです。
今までの努力が実った瞬間でした。
しかし、次が問題でした。
その勢いに乗って、次に漢字検定準1級の勉強を始めます。
2級で勉強した要領で、準1級の勉強も進めました。
準1級になると、試験範囲が広くなります。
試験日まで2カ月間ありましたから、その期間はスケジュールを調整して勉強する時間をひねり出していました。
朝の3時半に起きて、仕事が始まる9時までひたすら勉強です。
2カ月間、手を抜かずに勉強しました。
2級の合格からコツや要領を得ていますから、かなり効率的に進めていけました。
しかし、結果といえば、不合格でした。
試験を受けた直後に回答が配られ、自己採点をして、受からなかったことがわかりました。
受からなかったのですから、もちろん残念です。
ところが、不思議と心残りはありませんでした。
むしろすっきりした気分でした。
全力はすべて出し切った結果ですから、悔いが残っていないのです。
勉強を怠けて、だらだらしていれば「もっと勉強すれば受かったかもしれないな」という後悔が残ることでしょう。
しかし、自分にできるだけの時間とエネルギーをすべて費やし、できることはすべて行ったうえでの不合格は、悔いが残りません。
残念な結果ではありましたが、では今まで勉強した時間はすべて無駄になったのかというとそうでもありません。
一生懸命に勉強に打ち込んだ時間は、それだけしっかり自分の実力になっています。
単に合格するだけのラインに、まだ達しなかっただけです。
残念という気持ちはありましたが、不思議と気持ちはすっきりしていました。
資格の勉強だけでなく、仕事、恋愛でも何でもそうです。
「全力は尽くした、やることはやった。今の自分を出し切った」という経験は、悔いが減り、生き方を豊かにするのです。