「○○は一番」という表現があります。
ときどき聞かれる表現ですが、使い方に気をつけましょう。
使い方を誤ると、思わぬ誤解を招くことがあります。
それは「優劣をつけることがある」ということです。
称賛のつもりが、誤解を招いて悪口になることがあるのです。
たとえば、次のような表現を聞いたとき、どう感じるでしょうか。
「ミカンは和歌山が一番」
「ギョーザは浜松が一番」
「お好み焼きは広島が一番」
本人は普通に感想を述べたつもりかもしれません。
「とても良い」「本当に素晴らしい」という意味で「一番」という言葉を使うこともあります。
しかし、これは誤解を招きやすい発言です。
本当に一番かどうかはわかりません。
ミカンは、和歌山だけでなく、愛媛も有名です。
「ミカンは和歌山が一番」と言ってしまうと、愛媛の人はいい顔をしないでしょう。
ギョーザは、浜松だけでなく、宇都宮も有名です。
「ギョーザは浜松が一番」と言ってしまうと、宇都宮の人は「そうとは限らない」と突っ込みたくなるでしょう。
お好み焼きは、広島風もあれば、大阪風もあります。
「お好み焼きは広島が一番」と言ってしまうと、大阪の人は心証を害するかもしれません。
何気なく口にした一言が、思わぬ誤解を招くことがあります。
知らず知らずのうちに「比較」を生み出します。
称賛のつもりで言った言葉が、かえって悪口になることがあるのです。
禁句ではありませんが、使い方には注意しましょう。
感想と言うときは「おいしい」「素晴らしい」「気に入りました」というシンプルな表現のほうが誤解がありません。
「○○は一番」という表現を使いたいなら「個人の感想」という一言を付け加えればOKです。
インターネットのような、不特定多数の人に触れる場面では特に注意したいところです。