高級レストランで食事をしているとき、うっかりカトラリーを落とすことがあります。
「カラン、カラン」と、お店にカトラリーの落ちた音が響き渡る。
もちろん悪気はありません。
ほんの不注意です。
手が滑ることもあれば、袖口に引っかかって落としてしまうこともあるでしょう。
ここで騒いでいませんか。
「うわっ、カトラリーを落としちゃった。これは恥ずかしい。もう使えないね。どうしよう」
あたふたしないことです。
きょろきょろしないことです。
大きな声を出さないことです。
不注意とはいえ、あたふた騒いでしまうと変に目立ってしまいます。
周りのお客さんからくすくす笑われるかもしれません。
大声でお店の人を呼ぶのも要注意です。
「すみませーん! 落としちゃったので新しいのと交換してくださーい!」
大声で呼ぶと店内の上品な雰囲気を壊してしまいます。
一緒にいる人がいれば、恥ずかしい思いをさせてしまうでしょう。
いくら悪気はないとはいえ、スマートな対応とは言えません。
カトラリーを落とすのが恥ずかしいのではありません。
人間ですから不注意はあるもの。
では、何が恥ずかしいか。
ちょっとした不注意で騒いでしまうのがはずかしいのです。
うっかりカトラリーを落としても、落ち着いて対処しましょう。
まず心がけたいのは、お店の人を声で呼びません。
声で呼びたくても、ぐっとこらえましょう。
高級レストランの場合、落としたカトラリーは自分で拾わず、お店の人に拾ってもらうのがマナーです。
ゆっくり手を上げ、アイコンタクトでお店の人を呼びます。
お店の人が近づいてきたら「新しいのと交換していただけますか」とささやくだけです。
後はお店の人がスマートに対処してくれます。
あるいはこちらから呼ばなくても、カトラリーの音でお店の人が気づいてくれ、スマートに対処してくれることもあります。
新しいカトラリーを持ってきてくれたら、笑顔で一言「ありがとうございます」とお礼を言いましょう。
お礼を言うときは、きちんとお店の人の目を見ることが大切です。
同席者には「失礼しました」「ごめんなさいね」と言えばOKです。
これだけでいいのです。
慌てやすい場面ほど、落ち着いた態度を見せましょう。
これが、上品な大人です。