論理的思考力を鍛えるには、正解の数に対する意識改革が必要です。
私たちは学校教育の中で「1つの質問に対して1つの答え」を導き出すことを受けてきました。
いわゆる、一問一答です。
たしかに学校で出題される問題のほとんどは、一問一答形式が大半です。
ある問題には、明確な正解が存在します。
選択肢が複数あっても、消去法で正解を導き出していきます。
論文や記述問題などの例外はありますが、基本的に学校で行われる教育には、一定の正解が準備されています。
明確に正解が存在するからこそ、試験で点数をつけられます。
しかし「正解は1つだけ」という一問一答の先入観にとらわれていると、論理的思考力の妨げになります。
世の中には、正解が1つとは限らないケースが数多く存在するからです。
たとえば、ビジネスです。
ビジネスでは、正解が1つだけとは限りません。
むしろ正解が複数存在する場合のほうが普通です。
まだ正解がない状況に対して、自分なりに仮説を立て、検証して、正解を見つけていきます。
このとき、正解が1つではなく、いくつか存在することに気づかされるでしょう。
仕事の段取り・上司との交渉・結果を出すまでのプロセス。
会議・プレゼン・ストレス対策。
市場調査・商品開発・販売促進。
正解は1つだけではなく、複数存在します。
複数存在する正解の中から、1つを選ぶこともあれば、同時にいくつか選ぶこともあり、臨機応変な対応が求められます。
特に研究の分野では顕著です。
「正解は1つだけ」という考え方にとらわれていると、研究は進みません。
どこにどんな正解があるかわからないため、仮説と検証を繰り返しながら可能性を絞り込んで、正解を導き出していきます。
「こうではないか」という仮説を立てる。
仮説に基づいて実験して、実際の結果を取得する。
実際の結果をもとにして、仮説を見直し、再び検証をしていく。
研究は、仮説と検証の地道な繰り返しです。
たとえ途中で正解が見つかっても「まだ可能性が残っているのではないか」と疑うことも大切です。
人の数だけ正解が存在するケースもあります。
正解の数がゼロというケースもあります。
正解が無限に存在するケースもあります。
学校教育で身についた一問一答の呪縛から解放されることです。
一問一答の呪縛から解放されることで、いっそう思考の幅が広がります。