昔、カツ丼やカレーライスは、高級な食べ物でした。
今ではどちらも一般的な国民食ですが、戦後の貧しい時代はカツ丼もカレーライスも「高級料理」という位置づけでした。
カツ丼やカレーライスを食べられるときは大喜びでした。
過去を振り返ると、カツ丼やカレーライスが豪華で贅沢な料理として提供された時代があります。
ケーキやシュークリームもそうです。
ケーキもシュークリームも、今はどこでも売っているものですが、昔は「高級スイーツ」でした。
簡単に食べられるものではありませんでしたし、安く買えるものでもありませんでした。
シンプルなイチゴケーキが「豪華」と思われていた時代があります。
シンプルなシュークリームが「貴重」と思われて、両手を合わせて拝んでいた時代があります。
今では世界中に親しまれているお茶やコーヒーもそうです。
もともとお茶やコーヒーは、上流階級が楽しむ「高級飲料」とされていました。
茶葉もコーヒー豆も、昔は簡単に手に入るものではありませんでした。
一般庶民はなかなか口にできない、高級な飲み物だった時代があります。
今では考えられないことですが、そういう時代もあったのです。
「飽食の時代」と言われ久しい昨今です。
カレーライスやカツ丼を食べるとき「高級料理」と思いながら食べてみてください。
ケーキやメロンを食べるとき「高級スイーツ」と思いながら食べてみてください。
お茶やコーヒーを飲むときも「高級飲料」と思いながら口にしてみましょう。
「うわあ、なんてありがたいんだ。なんて貴重なのだろう。こんな高級なものをいただけるなんて幸せだ」と思ってみましょう。
すると、リッチな気分になれます。
特別おいしく感じられます。
いつもより一口一口を大切にし、しっかり味わうようになるでしょう。
不思議なことに、見た目まで輝かしく見えてきて、リッチに感じられるはずです。
料理の味わいは、心の状態によって変化します。
高級と思えば、何でも特別おいしく感じられます。
普通と思うと、ありがたみが減って、味わいも平凡に感じられます。
高級と思いながら食べれば、リッチに感じられ、ありがたみが湧きます。
人の感覚は不思議なところがあって、高級と思えば、味も見た目も素晴らしく感じる心理があります。
昔は高級なものとされ、リッチに感じられたのですから、今でも高級と思えば、リッチに感じられます。
食の貧しい時代を思い出しながら食べてみるのも一興です。
平凡な国民食が、味も見た目も、素晴らしいものに感じられるのです。