まず、愛犬の困った行動の解決について話をする前に、一番大切な話からさせてください。
この話を抜きにして、これからの話はできません。
「愛犬の困った行動」の根本的原因と言っても過言ではありません。
たとえば、次のような光景を目にしたことがありませんか。
散歩をしていると、犬同士が過剰に反応している。
大声で吠えたり、逆にひどく怯えたりする。
「同じ犬なのだからもっと仲良くできないのかしら」
犬ばかりではありません。
人・車・鳥など、目に映るあらゆる動物に過剰反応する犬がいます。
強く吠える。
もしくは、ひどく怯える。
いずれにせよ、過剰反応を示します。
「そんなに過剰反応しなくてもいいのに。どうしたのかしら」
そう思います。
リアクションはさまざまですが、こうした過剰反応を目にする飼い主も多いのではないでしょうか。
実は、こういう動作は特にペットショップから購入した動物に多く見られます。
ペットショップ特有の「生まれと育ち」に関わる事情があるためです。
どういうことでしょうか。
ペットショップで育てられている犬は、生まれつき他の動物との触れ合いに慣れていない場合が多いです。
「売るため」という前提があるためです。
犬同士がじゃれ合っているとき、牙や爪などでけがをすれば、価値が下がり、売り物にならなくなります。
そこで、生まれるやいなや、ほかの犬と隔離されます。
ペットショップとしても営利目的です。
多くのペットショップでは、商品に傷がつかないように、犬が売れるまではほかの動物との触れ合いを禁じている場合が多いです。
ペットショップで、犬が別々の部屋に隔離されて売られているところを、目にしたことがあるのではないでしょうか。
犬の立場になって考えてみましょう。
まだ、何も知らない。
まだ、何も経験できていません。
当然のことながら、あらゆるしつけも「ゼロ」の状態です。
そんなある日、突然、ある飼い主のもとで新しい暮らしが始まることになります。
ほかの犬はもちろん、人・鳥・車の音・テレビの音など、今まで見たことも聞いたこともないものばかり。
あらゆることに過剰反応して、当然といえば当然です。
世論には、こうしたペットショップの飼い方を「動物虐待」と考える人もいるようです。
文化や考え方の違いもありますから、これ以上の議論はこの場では控えます。
もちろんすべてのペットショップが、この限りではありません。
ペットショップの中には、動物の自然な生き方で育てているところもあります。
しかし、多くのペットショップの場合、こうした隔離形態で犬は育てているところが多いはずです。
犬には、自分の力ではどうしようもない、仕方ない生い立ちがあります。
飼い主は、そうした犬の生い立ちをわかってあげましょう。
できることといえば、少しずつ慣れさせていくことです。
「無理をさせない」という大前提のもと、時には厳しく、時には優しくしつけや教育を施します。
これが、愛犬の困った行動をしつける前に知っていただきたい大前提です。