「ヒューマンエラー」という言葉をご存じでしょうか。
日本語で言えば「人為的間違い」ということです。
人間特有のミス、ということです。
特に人命が関わる仕事では、ヒューマンエラーの防止対策が本格的、かつ徹底的に行われています。
たとえば、飛行機です。
操縦士の1つの間違いが、何百人もの命を奪ってしまうことがあります。
ゆえに、操縦士、確認者である副操縦士がダブルでチェックをします。
離陸や着陸の際も、一度の確認だけでなく、何度もチェックを行います。
天気まで考慮に入れます。
大勢の命を預かる飛行機では、絶対にミスは許されません。
事故が起こってからでは取り返しがつかず「ごめんなさい」では済まされないのです。
ヒューマンエラーは、人命に関わる仕事だけの話ではありません。
私たちの日常生活にも、ヒューマンエラーによって、命の危険がさらされるということがあります。
たとえば、自動車の運転です。
自動車は機械ですが、運転するのは人間です。
いくら性能のいい車でも、運転する人間に不注意があれば、交通事故を起こし、人命に関わる惨事につながることでしょう。
では、ヒューマンエラーは、どのようなときに起こるのでしょうか。
さまざまな要因の1つがありますが、最も代表的なものといえば「慣れ」です。
ヒューマンエラーは、慣れたときこそ、起こります。
あなたが車の運転をし始めたときのことを、思い出しましょう。
免許を取り、初めて単独で公道を走るときには、注意を払うはずです。
まだ車の運転に慣れていないので、交通ルールはしっかり守り、安全意識を持って運転します。
免許を取ったばかりの初心者は、運転に慣れていないのにもかかわらず、交通事故は少ないです。
もちろん初心者マークをつけて公道を走っている理由も関係していることでしょう。
なにより運転者が、自分は未熟者であることを自覚し、安全意識に細心の注意を払っていることが、一番の理由です。
交通事故が怖いのは「慣れたとき」です。
初心者から中級者になり始めたころが、一番危険です。
車の運転や交通ルールに慣れてきたころ、油断します。
「まあ、これくらい大丈夫だろう」
「自分ならできる」
「少しくらいルールを無視しても大丈夫」
しばらく経験を積むと、自分の技術や知識を過信してしまいます。
慣れたことで自信をつけてしまい、逆に安全意識が低下してしまいます。
ある日、1つの間違いが、命に関わる大きな事故につながってしまいます。
まず、ヒューマンエラーを防ぐために、あなたはしっかり次のポイントを押さえましょう。
「慣れたころが一番危ない」という事実です。
人間ですから、慣れによって緊張が解けるのは、仕方ないことなのかもしれません。
しかし「慣れたころが一番危ない」という事実を事前に知っておけば、安全意識の低下を予防できるはずです。