本の感想に「知っていることばかりだった」と書く人がいます。
「目新しいことはなかった」「当たり前のことしか書いてなかった」という記載も見かけます。
ネットのブックレビューでよく目にする感想です。
率直な感想かもしれませんが、注意したいポイントです。
「知っていることばかりだった」は、少々批判的です。
値打ちがないと言っているかのように聞こえ、あまりポジティブな印象がありません。
どんな著者も、身を削りながら執筆しています。
著者は、忙しい合間を縫って一生懸命本を書きました。
1冊を仕上げるのに膨大な時間と労力がかかります。
執筆から出版まで多くのプロセスがあり、1年以上かかることも少なくありません。
本とは、知識と知恵の結晶であると同時に、血と汗の結晶でもあるのです。
「目新しいことはなかった」というレビューを見れば、著者は心を痛めるに違いありません。
「知っていることばかりだった」と書きそうになったら、表現を工夫しましょう。
「大切なことを再確認できました」という表現にすればいいのです。
前に一度どこかで見たことがあるという内容もあるかもしれません。
すでに知っている内容であれば、それはそれで再確認になります。
大切なことを再確認できたという表現には、肯定的な意味が伴い、ポジティブ感もあります。
「よく見かけるということは、そのくらい大切なことなんだな」とわかります。
私たちは、基本的なこと・当たり前のことほど忘れがちです。
本の内容が知っていることばかりだったとしても、読むことでリマインドできます。
再確認ができたと思えば「読んで良かった」「読んだ意味があった」という満足につながります。
「大切なことを再確認できました」というレビューを見れば、著者は頑張ったかいがあったと嬉しく思うでしょう。
「知っていることばかりだった」より「大切なことを再確認できました」のほうがポジティブです。
著者への感謝の言葉になります。
自分にとってもプラスになります。
言わんとしていることは同じでも、表現の違いで、これほどの差が生まれるのです。