昔のことで、なぜ叱られたのかは忘れてしまいました。
私が、高校2年のときです。
あるミスのため、みんなの前で先生にひどく叱られたことがありました。
授業が終わって家に帰ろうと思い、学校の自転車置き場のところで、ばったりクラスメートと会いました。
私は先生に叱られた落ち込みから、下を向いて、帰ろうとしたそのときです。
クラスメートが、ある言葉をかけてくれました。
「さっきは大変だったね」
私の気持ちを表現した、飾り気のない一言です。
しかし、私は、その言葉が無性に嬉しかったことを覚えています。
なぜ先生から叱られたのかは忘れたのに、友人からのその言葉は、今でも忘れられません。
そのくらい、嬉しかったということです。
クラスメートが口にした言葉は、まさに私が心で思っていることそのままでした。
私が思っていることを、友人が代わりに声を出して表現してくれたようでした。
私たち人間は、自分の感じている気持ちを、自分で言葉にすることはありません。
悲しいときや落ち込んでいるときは、誰にも会いたくはありません。
何も話したくなくなり、自分の殻に閉じこもってしまいがちです。
クラスメートが、私の落ち込んでいる姿を見て、話しかけてくれたとき、私は心の中で「そうなんだよ!」と共感できたのです。
私は「自分をわかってくれる人がいた」と思った瞬間、気持ちが楽になりました。
自分の気持ちをわかってくれる人が1人でもいると、泣きそうになります。
気が利く人になるためには、相手が思っている心の言葉を、あなたが代わりに口にしてあげるだけでいい。
涙を流している人を見て「つらいね」と言葉をかける。
怒っている人を見て「いらいらしているね」と言葉をかける。
喜んでいる人を見て「嬉しそうだね」と言葉をかけます。
難しいことではありません。
しかし、こんな単純なことで、相手は喜んでくれます。
自分の気持ちをわかってくれていると共感できるからです。
気が利く人になるために、相手の気持ちをあなたが言葉にして表現してあげればいいのです。