「私たちは、生きている」
普通に考えるなら、そう思うでしょう。
親から命を授かり、この世に誕生して、長い月日が流れました。
もちろん「生きている」という認識に間違いはありません。
呼吸をして酸素を取り込み、心臓を動かして血液と酸素を循環させ、生命活動を維持しています。
自分の判断で物事を決めて、自分の力で道を切り開いています。
体内に宿っている命のおかげで、今日も元気に生きています。
しかしです。
もっと生命の基本や万物の根源に目を向けると「生きている」とは思えない現実に気づきます。
たとえば、心臓です。
心臓は、自分の意思で動かしているわけではありません。
勝手に動いています。
自律神経による働きのおかげですが、その自律神経の制御も、知らないうちに行われています。
新陳代謝も、勝手に行われています。
およそ28日周期で皮膚が新しく生まれ変わっていますが、そのサイクルも、自分の意思ではなく勝手に行われています。
転んで膝をすりむいてけがをしても、自然と出血が止まります。
自分で手当てすることもできますが、血小板や白血球の働きによって殺菌と血液の凝固が行われます。
安静にしていれば、自然と傷口がふさがり、数日後には元どおりになります。
自分の意思とは関係なく働く、免疫システム・再生システムのおかげです。
本能も、勝手に働いています。
細胞分裂も、勝手に行われています。
私たちは自分の意思で行動していますが、実際は生命活動の根源に近い部分ほど、勝手に行われているのが現実です。
私たちの体だけではありません。
雨は、勝手に降ります。
地球は、勝手に回っています。
太陽は、勝手に輝いています。
こうした生命活動・宇宙の営みは、もはや人の意思を超越しています。
宇宙が誕生して、138億年。
偉大なる何かによってこの世が誕生して、宇宙の法則・生命のプログラムによって、万物が誕生しました。
進化と選別を繰り返しながら、今に至ります。
私たちが生きているのは、そうした勝手に行われている活動によるものです。
この状態に気づけば「生きている」という表現は、少し違和感があることに気づけるはずです。
生きているのではありません。
生かされているのです。
生命活動も宇宙の営みも、自分の意思ではなく、勝手に行われています。
あなたを生かすために、不満も文句も言わず、ひたすら無償の労働を続けているのです。
勝手に行われている生命活動・宇宙の営みによって、今日もあなたは生きることができています。
胸に手を当ててみてください。
勝手に心臓が動いているはずです。
今日もあなたを生かすために、生命活動が行われています。
私たちは「生きている」より「生かされている」と考えるのが正解です。
この現実に気づけば、何とありがたいことなのかと感謝の念が湧いてくるでしょう。
そして自然と謙虚な気持ちになるはずです。
「自分は生かされている」と思うほうが、現実を正しく反映しています。
宇宙の素晴らしい仕組みの中で、今日も生かされています。
自動的に動く生命活動・宇宙の営みをありがたいと思えるようになります。
そして「命を大切にしよう」という気持ちにもなるでしょう。
だから、今日もすべてに感謝しながら生きてください。
「生きている」より「生かされている」と思うほうが、謙虚になれるのです。