人と会ったとき、いつもと違った様子に気づくことがあります。
何があったのか気になり「どうしたのですか」と尋ねたとき、よく聞かれる返事があります。
「いろいろあったんです」という一言です。
おそらく、実際にいろいろあったのでしょう。
朝、いつもの時間に起きようとしたら、二度寝してしまった。
二度寝のせいで焦っていると、交通事故に遭ってしまった。
交通事故のせいで、落ち込んでいた。
落ち込んでいたため、仕事でミスを犯してしまった、などです。
事情が込み入っていて、すべて説明しようとすると、時間がかかる場合があります。
そんなとき「いろいろあったんです」という便利な一言で済ませることがあります。
便利だから、使う頻度も多くなりがちです。
しかし「いろいろあったんです」と言われた側の立場を考えてみましょう。
「いろいろあった」と言われると、何があったのかわかりません。
雰囲気によっては「それ以上、聞かないでほしい」というニュアンスに聞こえることもあります。
つまり、それ以上、会話が途切れやすい一言なのです。
「いろいろあったんです」という一言は、相手をがっかりさせ、会話を途切れさせます。
わざと会話を終わらせたい場合はいいのですが、会話を豊かにしたければ、言わないほうがいい一言です。
すべて話さなくてもいいのです。
一部でもいいので、何があったのか、具体的に話してみましょう。
「寝坊したから」
「今日は、事故に遭ったから」
「今、少し落ち込んでいるから」
一部でもいいので具体的に話せば、事情がわかり、会話が広がるのです。