親犬が子犬を産むことがあります。
犬は、一度に5匹前後生みます。
初めて犬の出産を目の当たりにした飼い主は、一度にたくさんの子どもを産む様子に驚くことでしょう。
さて、生まれたばかりの子犬は当然、まだ目も見えませんし、立つこともできません。
およそ1週間後にようやく目も開き、生後1カ月も経つと少しずつ歩けるようになります。
すると、今度は別の問題が発生するようになります。
子犬同士が、よく喧嘩をし始めます。
成犬同士も喧嘩をしますが、頻度で言えば、子犬同士のほうがはるかによく喧嘩をします。
生まれつきの性格もありますが、本当によく喧嘩します。
じゃれ合っていることもありますが、中には本気で噛みついている場合も珍しくありません。
人間の子どもの場合と同じです。
幼い時期は自己抑制が弱く、ささいなことで嫉妬したり、すねたり、反抗したりします。
子犬同士が喧嘩をしていると、飼い主としてはやめさせようと割り込んでしまいます。
しかし、できればそのままにしましょう。
喧嘩をしながら、犬は犬との関わり方や距離感を学びます。
噛む行動も「このくらい噛むと痛いぞ」というのを、噛んだり噛まれたりしながら学んでいきます。
喧嘩をしながら主従関係を学びます。
主人はどうあるべきか。
従者はどうあるべきか。
その立場やルールなどを、集団で生活しながら体得しています。
そこで、人である飼い主が喧嘩を止めに入ってしまうと、せっかく犬社会の勉強が台無しになります。
飼い主が犬を保護しすぎてしまうと、犬は犬と喧嘩ができなくなり、犬同士の付き合い方がわからなくなります。
仲がいいときもありますが、時には喧嘩も、すべて社会勉強です。
もちろん命に関わるほど大喧嘩をしているなら止めに入るべきですが、本当の例外です。
子犬の噛む力はまだ弱く、大けがになることはまれです。
そもそも飼い主より、親犬のほうがよく見ていますし、犬のルールをよく知っています。
万が一、本気の喧嘩になれば、親犬が仲裁に入るはずです。
子犬の時期には、犬同士の触れ合いをたっぷりさせてあげることです。
生後1カ月から3カ月の間は「社会化期」と言います。
この時期に、見たり触れたりしたことは成犬になってからも受け入れやすくなる傾向があります。
子犬の喧嘩は「犬関係」の勉強をしているのだと思い、仕方ない状況以外は、そっとしておくようにしましょう。