散歩中、きれいな野原を歩いているとき、犬が野花の上に体を押し付けるしぐさを目にしたことがありませんか。
私の実家は田舎であったため、草木・川・野原など多くの自然がたくさんあります。
春、目の前に広がる野原を散歩していると、犬は必ずと言っていいほど、野花の上に寝そべって体を花にこすりつけようとします。
一瞬、緑広がる美しい野原に感動して、はしゃいでいるのかなと思います。
そのしぐさはほかの場面でも見られました。
たとえば、散歩の途中に、ごみ捨て場や犬のふんが落ちている場所などがあります。
そうした汚い場所でも、地面に寝っ転がって体をこすりつけようとします。
さすがにこれは驚きました。
野原の上で寝っ転がるくらいならまだ許せますが、なぜ、よりによって汚い場所でも寝っ転がろうとするのかと思います。
これは、犬が野生だったころの習性です。
自分のにおいを消そうとしています。
野生で生きる生き物の多くは、においに敏感な生き物が多くいます。
なぜ「目」ではなく「鼻」が敏感なのか。
目はその場の状況しか確認できませんが、においはしばらく残るものだからです。
足跡は地面にしか残りませんが、においは空中に浮遊するためしばらく残り続けます。
空中に浮遊するにおいだけで、どの動物が、いつ、どこで、どう移動したのかを把握できます。
そのため、自分のにおいが残っていると、ほかの動物たちに自分の居場所を知られ、危険が迫りやすくなります。
そうならないために、自分のにおいを消そうと、現場のにおいと同化させようとします。
野原にいるなら野原らしいにおいを残そうとし、汚いところなら汚いにおいと同化させようとします。
その環境と同じにおいなら、ほかの動物が来ても「変わったにおいはしないな」と気づけなくなります。
とりわけ特にこのしぐさは、汚い場所のほうがよく見られます。
動物の糞のように、においが濃いほうが、長くにおいが残りやすいからです。
においが強いほうが、自分の存在を隠しやすいため、ごみや糞のある場所のほうがよく見られます。
しかし、いくら野生の習性が残っているとはいえ、室内で飼っている犬が糞の上を転がるのは困ります。
こういうとき、飼い主はやめさせるようにしましょう。
不潔です。
後で体を洗う手間も出てきます。
何かの病気が移る可能性もあるでしょう。
犬のためであり、飼い主のためでもあります。