1時間勉強をするとすれば、一番記憶に残るのは、どのタイミングかご存じですか。
「最初の5分間」と「最後の5分間」です。
このとき、人間の記憶力は最もよくなります。
印象に強く残ります。
たとえば単純な例として、1時間使って、英語の単語帳を覚えられるだけ覚えるとします。
すると「最初の5分間で覚えた単語」と「最後の5分間で覚えた単語」に限っては、なぜか、よく覚えていることでしょう。
もちろん多少ばらつきはありますが、私の経験でも、勉強の最初と最後だけはよく覚えています。
これは、きちんとした理由がある現象です。
これは「記憶の衝突」が関係しているからです。
最初に覚えた記憶に、さらにほかの記憶を追加しようとすると、最初に覚えた記憶とぶつかって、覚えにくくなるという現象です。
Aを覚えた後、Bを覚えるとします。
すでにAが頭に入っているので、後から覚えようとするBがAとぶつかり、覚えにくくなります。
AとBに関連性があれば、まだ衝突は小さいのですが、AとBがまったく種類の異なる記憶なら、衝突は大きくなります。
記憶が完全に定着していれば、記憶どうしはぶつかりません。
今覚えたばかりのことは、記憶が定着していないので「記憶どうしのぶつかり合い」が発生します。
最初の5分に限って覚えやすいのはそのためです。
あなたが初対面の人と挨拶したとき、第一印象が最も強くなるのも同じ話です。
記憶し始めた最初の5分間は、初めて入ってくる刺激であり、ぶつかることがないのでスムーズに頭に入り、印象に強く残ります。
逆も、同じです。
別れる直前の記憶も、強く残ります。
後味は、なぜか強く残ります。
最後の記憶は、後に入ってくる刺激がないため、記憶の衝突が起こりません。
Aを覚えBを覚え、この流れで「ABCDEFG」と覚えたとすると、最初のAと最後のGはよく覚えています。
ゆえに、勉強では「最初の5分間」と「最後の5分間」が、最も記憶力がよくなります。
さあ、この話を聞けば、効率のよい記憶法が思い浮かびます。
つまり、勉強において「最初」と「最後」をたくさん作ればいい。
では「最初」と「最後」をたくさん作るためにはどうすればいいのでしょうか。
適度に休憩を入れればいい。
適度に休憩を入れれば「最初」と「最後」をたくさん作ることができ、覚えやすい状況を作り出せます。
また休憩を入れている間に、脳そのものもリラックスして、勉強の疲れをいやすことができるでしょう。
「適度な休憩を入れて勉強する」とは昔からよくいわれていますが、究極の勉強法です。
先人の古い教えには、それなりの深い理由があったのです。