成功者やお金持ちの話は、ためになるようで、なかなかためになりません。
往々にして自慢話になっていることがほとんどだからです。
たとえば本屋に行って、お金持ちになった人や成功した人の本を開けば、すぐわかります。
「俺はこうした。これだけのお金を持っている。これだけのことをやってきた。どうだ、すごいだろ」
本の半分以上が、自慢話になっています。
自分は神であるかのように、自分の素晴らしさや業績を本の中で自慢しているのです。
私はこうした話を読みながら少し残念だなと感じます。
たしかに成功したからには「何かの要因」があってできたはずです。
その要因を知ることができた「きっかけ」を知りたいのです。
成功のための要因は、必ずと言っていいほど「失敗体験」からです。
過去に何か苦しくて恥ずかしい失敗をしたからこそ、その成功できるような要因を知ることができたはずなのです。
小学生のころ、いじめにあった。
人間関係に苦労をして、わかったことがある。
お金で失敗をして、お金の使い方についてわかった。
入院するほどの病気にかかり、命の貴さを理解し、時間は無限ではないことがわかった。
本当はそうした失敗談が一番聞きたいのです。
本の中ではその一番大切な部分を隠していて、大切な成功哲学だけがぽつんと書かれています。
たしかによい話ではありますが、感動がないし、味気ないし、面白くないのです。
内容はわかるのですが、痛切に感じることができません。
失敗した体験で得たことなら、それだけ説得力が出てきますし、読む人の心に響きます。
成功した人たちが過去にしてきた失敗を知りたいし、その説得力を持って読者の心をつかむことができればいいのです。
コミュニケーションも同じです。
自分の自慢話はしなくてもかまいません。
相手を不快にさせてしまうだけです。
その代わり、自分の失敗経験を話しましょう。
自分の失敗談ほど人を引き付ける話はありませんし、感動のある話はありません。
世界で唯一自分だけができる話ですから、堂々と口にできるのです。