あるところに親切な人がいました。
席を譲ろうと声をかけると、意外な言葉が返ってきました。
「私はそんな年寄りじゃない」と言い返されたのです。
逆ギレのような返事に、一瞬空気がぴりっとしました。
どうやら席を譲られたことを、自分が年寄りに見られたと思ったようです。
それは考えすぎです。
年寄りに見られたというのは勝手な思い込みです。
たしかに若い人でも、体調が悪そうなら、気を遣って席を譲ってもらうことはあります。
声をかけた人は、そんなつもりで声をかけたわけではありません。
あくまで純粋な親切心です。
普通に席を譲るつもりで声をかけただけです。
「私はそんな年寄りじゃない」と言い返すと、せっかくの親切を無にしてしまいます。
残念ながら、席を譲られたことを悪く誤解する人がいるものです。
人からの親切は、素直に受け取る人になりたい。
席を譲ってもらったら、相手の親切をありがたく受け取りましょう。
「わざわざ声をかけてくれてありがたい」と思えばいいことです。
たとえ年寄りに見られたとしても、気にしないことです。
相手に悪気はなく、あくまで純粋な親切心です。
取り立てて大きく騒ぎ立てることではありません。
人からの親切は、素直に受け止め、素直に喜んだほうがスマートです。
時には断りたいときもあるでしょう。
「大丈夫です。ご親切にありがとうございます」の一言で済む話です。
優しい言葉で断れば、声をかけてくれた人もにっこりできます。
席を譲られるシーンだけではありません。
「お手伝いしましょうか」「荷物を持ちましょうか」と声をかけられたときも「私はそんな年寄りじゃない」と言い返さないこと。
悪いほうに受け止めるのではなく、良いほうに受け止めましょう。
人の親切は素直に受け止める人が、愛されるのです。