規制を最大限に生かした絵師と言えば「歌川国芳」です。
歌川国芳は、江戸後期に活躍した浮世絵師です。
江戸後期は水野忠邦による天保の改革によって厳しい規制が強いられていました。
規制の範囲は絵師の仕事にもおよびます。
描かれる絵にも規制が入ることになって、役者絵や美人画が禁止されることになりました。
役者絵や美人画は風紀を乱すということで規制対象になってしまったのです。
しかし、歌川国芳のすごいところはここからです。
規制があるからといって彼はめげませんでした。
「規制があるなら、規制に触れない表現で描けばいい」と考えます。
知恵を絞った結果、これまでにない斬新でユニークな浮世絵が誕生します。
歌舞伎役者を、人ではなく猫で表現した絵を描きます。
猫や魚などを擬人化した戯画を描きます。
判じ絵を通して、時代を風刺した浮世絵を生み出します。
結果として奇想天外な絵が誕生して、大人気を博します。
規制をマイナスではなくプラスとして生かすことで、ユーモアにあふれる作品を次々生み出していきました。
規制を逆に生かすことで、浮世絵の枠にとどまらないユニークな作品を多数生み出しました。
歌川国芳の逆転の発想力には驚かされます。
私たちも、歌川国芳の発想力に見習うところがあります。
規制があるなら諦めてはいけません。
規制があるなら、規制に触れない工夫や方法を模索しましょう。
規制を生かして、プラスに変えましょう。
規制をプラスに生かせば、新しい発想につながり、今までにない芸術が誕生するでしょう。
規制は、ピンチではなく、チャンスです。
規制とは、芸術性を高める起爆剤なのです。