覚えただけの知識は、すぐ忘れます。
勉強したことも、復習することがなければ、どんどん忘れていきます。
試験前に頑張って覚えたことも、試験が終わってしばらくたつと忘れるでしょう。
試験勉強は「忘れては覚え直し、また忘れては覚え直す」という繰り返しです。
覚えただけの知識は、時間が経つにつれて忘れます。
記憶を強化させるなら復習が効果的ですが、復習をやめれば、だんだん忘れてしまいます。
普段から触れている知識ならいいですが、一度覚えただけの知識は時間とともに忘却していくのが普通です。
ところが、何でもすぐ忘れるわけではありません。
時間が経ってもなかなか忘れないことがあります。
「体験」です。
覚えただけの知識はすぐ忘れますが、体験はなかなか忘れません。
体験は「エピソード記憶」であるため「覚えやすく忘れにくい」という特徴があります。
学校で習った原爆の知識はすぐ忘れますが、原爆ドームを見に行った経験はなかなか忘れないでしょう。
体験は五感が伴っているため、しっかり頭に入って、記憶に焼き付きます。
自宅で見た映画はすぐ忘れますが、映画館で見た映画はなかなか忘れないでしょう。
映画館で見る映画は、空間や音響が整っていて、一種の「体験」になっているからです。
体験は、たった1回のことであっても、信じられないほど記憶が長持ちします。
何年も何十年も記憶が長持ちするでしょう。
体験には、椅子に座って机の前でできることではありません。
重い腰を上げて、実際に体を動かす必要があります。
体験には時間やお金もかかることも多いのですが、記憶の効率としては最高です。
たった1回でも、ぐさりと記憶に刻まれます。
覚えようと意識しなくても、自然と覚えてしまいます。
どんなに記憶力の弱い人でも、体験となると簡単に覚えてしまいます。
また体験の場合「学びが多い」という特徴もあります。
身をもって体験することで、座学だけではわからないことが学べます。
手応えや雰囲気など、五感を通して具体的にわかるため「なるほど」と思うことを発見できるでしょう。
体験は、新しい学びや意外な発見が多いため、自分のためになります。
体験にはお金も手間暇もかかって大変ですが、記憶が長持ちする点・学びが多い点を考慮すれば、実は安上がりです。
さて、体験はなかなか忘れないのですが、もっとしっかり記憶できることがあります。
「感情が伴った体験」です。
普通の体験でも忘れにくいのですが、感情が伴った体験はもっと忘れにくくなります。
喜怒哀楽が伴った体験であれば、一生覚えることになるでしょう。
喜怒哀楽などの感情に伴って分泌される脳内物質には、記憶を増強する作用があるためです。
旅行の記憶はなかなか忘れませんが、旅行先ではらはらどきどきした体験は一生覚え続けるでしょう。
映画館で見た映画はなかなか忘れませんが、それが涙を流す感動の作品であれば二度と忘れることはないでしょう。
感情が伴った体験は、すぐ長期記憶に変化するため、基本的に忘れることがありません。
たくさんの体験を増やしましょう。
できるだけ感情の伴った体験を増やしましょう。
どんどん喜怒哀楽を刺激してください。
恥ずかしいことでも、緊張することでも、どきどきすることでもかまいません。
感情が伴った体験のために、どしどし時間とお金を使ってください。
記憶のコストパフォーマンスとして、感情の伴った体験にまさるものはありません。