お金で失敗したときの悔しさを、どうするかです。
誰か他人のせいにするのはよくありません。
せっかくお金を払って得られた貴重な失敗体験が、水の泡になってしまい身につかないからです。
人のせいにするのではなく、自分のせいにすることです。
たとえ悪いのが相手でも、自分のせいにして悔しさを十分に感じきっておくことです。
悔しさが、その後のあなたを大きく変えます。
「改善したい」「同じ失敗を繰り返したくない」という気持ちが、より強くなります。
私にも、社会人になったばかりのころ、お金にまつわる痛い経験があります。
訪問販売による、高額な浄水器を買わされてしまった経験です。
東京で一人暮らしを始めたばかりの私は、飲み水に苦労をしていました。
蛇口から出る水はくさいし、水はいつもコンビニにまで買いに行っていました。
シャワーの水に含まれる塩素が原因と思われるアレルギーが、出てくるようになりました。
かゆくて仕方ありません。
水に関しては困り果てていたところ、訪問販売の爽やかなお兄さんがやってきました。
タイミングよく、高機能な浄水器の案内でした。
ちょうど水に困っていた矢先だったので、私は前向きに話を聞いてしまいました。
しかし、ネックは値段でした。
価格は、およそ30万円です。
浄水器1つに30万円は高すぎだと思って、断ろうとすると、爽やかなお兄さんがうまいことを言います。
「ローンを組めばいいですよ。1カ月で計算すると、たった4,000円です」
私は頭の中が「30万円」から「4,000円」に切り替わってしまいました。
「だったらいいかな」と甘い考えをしてしまったのです。
購入後、たしかに浄水器はとてもいいもので水に困ることはなくなりました。
しかし、です。
後から冷静になれば、身の丈に合っていない買い物をしてしまったと、思うようになりました。
浄水器とはいえ、もっと安いものがあります。
30万円が法外な値段だということに気づき、後になって怒りがこみ上げてきました。
あのときのお兄さんを恨んでしまったし、その怒りをどうしていいのかわからず余計に鬱憤がたまってしまいました。
そのとき生まれて初めてクーリングオフにも問い合わせました。
しかし、もうクーリングオフの有効日数が過ぎていたため、取り返しがつかない状態になっていたのです。
判断を一瞬誤ったばかりに、大きなローンを数年間にわたり、背負うことになってしまったのです。
苦い思い出です。
借金は一度背負えばわかりますが、気が重いものです。
何か邪悪な悪霊にとりつかれているような感じがします。
それからというもの、私はお金に関係した出来事には、目を鋭くさせるようになりました。
「こんなのいかがですか」と言われても、以前の悔しい経験が思い出されます。
「いいえ、結構です!」と強く言いはねるようになりました。
「これ以上、ひどい経験をしたくない」という緊張感があると、強気になれます。
街角で話しかけられても、まず話は聞かないようになりました。
別人のようです。
「いりません」「不要です」と言っています。
お金の痛い失敗が、私を大きく変えてくれました。
痛い経験はいい勉強とも言え、そのときに学んだ教訓は生かしておくことが大切なのです。