私たちは、毎日必ずお金を一度は目にし、使います。
しかし、そんなお金とは何かを本当に理解している人は少ない物です。
なぜお金が誕生したのか、何のためにお金が存在しているのかを初めに知っておく必要があります。
お金の使い方とは「自分が欲しい物を、ある一定の量のお金と交換して手に入れる」ということです。
これが誰しも知っているお金の使い方であり、世界共通です。
しかし、お金は人類誕生以前の大昔から存在していたと言うわけではありません。
お金は、まず人間が作り出した人工的な手段です。
昔に遡ってお話をします。
その昔、世界にお金という物が存在しなかったころ、人々は「物々交換」によって物を手に入れていました。
ある者は狩りをするのが得意で肉を持っていた。
しかし、一方で農業を営むことは苦手で、お米を手に入れる手段がなかった。
そこでお米を手に入れている人に、自分の得た肉とお米とを交換しようと交渉し、自分が持っていない物を手に入れていたのです。
俗にいう「物々交換(物と物とを交換)」です。
まだお金が存在しなかったころは「自分の物と相手の物とを交換」することでほしい物を手に入れていたのです。
木と塩を交換、ウサギと犬を交換、大根とニンジンを交換といった感じです。
中には、釣り合っていない交換もあります。
ウサギ1匹と牛1頭とでは、大きさや寿命も全然違います。
こうしたときにはウサギ5匹と牛1頭といった具合に、釣り合いをうまく保って交換していました。
ですが、やがて頭のいい人間たちは、そんな物々交換では効率が悪いということに気づきます。
自分の持っている物と相手の持っている物が、必要し合っているときはいいですが、問題はそうでないときです。
物々交換は、相手が自分の持っている物と交換して初めて成り立つことです。
自分の持っている物が相手は必要としていない物なら、いくら相手の物が欲しくても交換に応じてくれないのです。
「私は君の物は必要ないな。物々交換には応じられないね」
うまく断られます。
お互いに持っている物をお互いが交換したいときに初めて物々交換が成立するのです。
やがて、人々は気づきます。
「これでは効率が悪い。物と物とを仲介する共通的な価値のある物が必要だ」
そこで生まれた共通の物が、お金です。
初めは、お金は石でした。
複製できない特別な石をお金の代わりにして、自分の持っている物をある一定の石の量に変換します。
特別な石なのでそのへんに転がっている物ではいけません。
きちんと模様が施されたお金と認められる石でないといけません。
変換された石のお金で、誰かに自分が欲しい物と交換してもらいます。
このようにして人々は自分では手に入れられない物を、お金という共通的な価値の物に変換しました。
そのお金で他人から自分が持っていない物をお金と交換することで、効率よく手に入れることができるようになったのです。
自分が持っていない物があったとしても、お金を仲介すれば物が買えるようになっています。
その後お金も石から、鉄製の物、銅製の物、紙幣の物など、より複製ができないように作られ、今のお金があるわけです。
ウサギ1匹だと2,000円。
しかし、牛1頭だと10,000円。
このように値段が付けられ、自分の持ち物をお金に変換します。
変換されたお金を使って、相手から物を買います。
お金は物々交換の効率を追及した結果生まれた、最高の手段なのです。