悟りを開くことについて、完全に物を否定することだと思う人がいますが、違います。
悟りを開くとは、物を完全に手放すことではありません。
私たちは、物質の世界に生きています。
物質の世界で生きているかぎり、物を完全に手放すのは、不可能です。
家や服がなければ、雨風に凍え死にます。
食べていかなければ、死んでしまいます。
そもそも、あなたの肉体も、持ち物の1つです。
体を捨てるのは、死を意味します。
物は、死ぬときにすべて手放さなければいけませんが、生きていくためには必要です。
だからとはいえ、たくさん持つのも違います。
たくさん物を持つほど「手放したくない」という執着が増えます。
執着が増えるほど、喧嘩やいらいらも増えてしまうのです。
まず、物を減らすことです。
いきなりすべてを捨てるのではなく、できる範囲から、減らしていきましょう。
物を減らそうと意識するとき、あなたの中に、一種の悟りが生まれます。
物を捨てることは、欲を捨てることです。
持ち物が減るから、執着が減り、喧嘩も減ります。
「とにかくたくさん持つ」という意識から「いい物を少なく持つ」という意識へ、転換しましょう。
安物をたくさん持つより、いい物を1つ持つほうが、豊かになれます。
持ち物の量を減らすことができると同時に、物を大切に扱う精神も生まれます。
フットワークと豊かさを、両立できるのです。