故事・ことわざ・四字熟語を、どのくらい知っていますか。
会話の中で、故事・ことわざ・四字熟語を頻繁に使う人は、要注意です。
「『石橋を叩いて渡る』という言葉があるでしょう」
「お互いに『以心伝心』で、わかり合えるよね」
口にした自分としては「よし。うまいことが言えたぞ。知的な面もアピールできた」と思います。
「昔から言われている言葉だから、間違いないことだよ」と伝えようとする気持ちはわかります。
気持ちはわかりますが、言われる側は、あまりいい印象を受けません。
理由は、3つあります。
故事・ことわざ・四字熟語の意味を、必ずしも相手が知っているとは限りません。
相手が知らない表現が出てくると、会話をよく理解できず、返事に困ります。
権威のある言葉を使うことで、自分の知的さをアピールしようとする様子に見られることがあります。
「こんな難しい言葉を知っているんだぞ」と、遠回しに言われているような気がすると、嫌な感じがします。
言葉の意味を知らない相手は、高圧的な態度のため「意味がわからない」と言いにくくなります。
権威のある言葉のほうが、説得力が増すような気がしますが、実際は逆です。
故事・ことわざ・四字熟語は、自分の言葉ではありません。
他人の言葉を借りて説得することになるため、かえって説得力は小さくなるのです。
以上、3つの理由から、故事・ことわざ・四字熟語の多用は、おすすめしません。
もちろん適度に使う分にはいいのですが、できるだけ多用は控えます。
故事・ことわざ・四字熟語を会話に含めるなら、わかりやすく自分の言葉で言い換えましょう。
きちんと自分の言葉で伝えようとするほうが、本人がそう思って口にしていることがわかります。
結果として、好感が得られ、説得力も増すのです。