「音楽がないと生きていけない」
こうした愛にあふれる力強い言葉を口にする人を見かけます。
特に、プロのミュージシャンからはよく耳にする言葉ですね。
抑えきれないほどの音楽への情熱が、こちらまで伝わってきます。
「より良い音楽を作りたい」
「音楽で多くの人を明るくさせたい」
「音楽のおかげで、多くの困難を乗り越えることができた」
充実した時間ややる気や元気を出すために、まさに「音楽がないと生きていけない」といいます。
あなたにとって、人生を豊かにするもので欠かせないことは何ですか。
人によって、何から充実感を得られるかはさまざまでしょう。
「友人と一緒にいる時間が幸せ」と感じる人もいることでしょう。
楽しい会話から明るさや元気をもらったり、学んだりすることはたくさんあります。
知的好奇心が旺盛な人なら「本がないと生きていけない」と言うかもしれませんね。
さまざまな知識を吸収するために、なにより本を愛していると感じられます。
まさに千差万別です。
「これがあれば生きていける」ということを見つけている時点で、すでに幸せです。
さて、ここからが本題です。
充実するために欠かせないものと思っているものでも、実は「偽物」があります。
たとえば、先ほどの「音楽がないと生きていけない」という発言をする人でも、特殊なケースがあります。
音楽がないと、何も行動ができなくなったり、急に泣き出したり、いらいらしたりする人です。
これも「音楽がないと生きていけない」という状態ですが、先ほどのミュージシャンの例とは少し異なります。
心の穴を埋めるために、音楽へ依存しています。
もちろん失恋に落ち込んだり、テストで落ち込んだりなど、そういうときに音楽も必要です。
普段の自分をさらに高めたり充実させたりするための音楽は、もちろん問題ありません。
しかし、そういう場合に限らず「常に不安に襲われて、音楽がないと何もできない」というなら、要チェックです。
それは「楽しむこと」が目的ではなく「気持ちをごまかすこと」が目的になっています。
ないとまったく行動できなくなったり、やる気や元気が出なくなったりする場合は、行動する目的が「心の穴埋め」になっています。
音楽に限りません。
音楽というキーワードを別の言葉に言い換えれば、応用もさまざまです。
「友人がないと生きていけない」
「本がないと生きていけない」
愛しているから「ないと生きていけない」と言っているのか。
それとも、心の穴を埋めるために「ないと生きていけない」と言っているのか。
両者は同じ発言ですが、意味はまったく異なります。
少し自分の心の内面と向き合ってみましょう。
判断ポイントは「なくても行動できるかどうか」です。
音楽がなくても、生活しようと思えば生活できるか。
友人がなくても、生活しようと思えば生活できるか。
本がなくても、生活しようと思えば生活できるか。
自分の心の穴を埋めるために、音楽・友人・本を求めているなら、対策が必要です。
本当に目を向けるべき点は「なぜ、何もない普段から、不安や寂しさを感じてしまうのか」です。
常に不安や寂しさを感じるからには、何か原因があるはずです。
自分に自信がないからか。
両親と仲が悪く、愛を感じていないからか。
原因も一概には言えませんが「常に感じる不安」「常に感じる寂しさ」などには、必ず何か原因があるはずです。
「心の穴埋め」より「寂しいと感じる原因の穴埋め」のほうが先決です。
穴を埋めるために、音楽・友人・本に逃げるのではなく、普段から寂しく感じる原因を探り、見つけ、改善していくことです。
本当の原因を突き詰め、なくても生きていけるような状態に戻す必要があります。
真正面からチェックしてみましょう。
それが、自分の心の内面と向き合うことです。