22歳のとき、ニューヨーク・マンハッタンへ一人旅行をしたことがあります。
ニューヨーク・マンハッタンといえば、世界でも有数の超大都会です。
現地に到着して、大きなビルが立ち並んでいるというイメージは想像どおりでした。
ずらりと立ち並ぶビル街を、カバンを片手にビジネスマンがさっそうと歩く姿は、テレビや雑誌で見たとおりでした。
夜は、ぎらぎら輝くネオン街へと変わります。
まさに大都会。
しかし、1つだけ、実際に行ってみて意外だったことがあります。
大都会であるにもかかわらず、自然があります。
それも大自然です。
ニューヨーク・マンハッタンの真ん中には「セントラルパーク」という巨大公園があります。
草木が豊富に咲き乱れ、都会のオアシスになっていました。
まさかこんな大都会に、これほどの自然があるとは思いませんでした。
驚いて、セントラルパークの全体を、歩いて一周したほどです。
ビルばかりというイメージが頭を占有していたので、余計に度肝を抜かれました。
その後、社会人になった私は、東京で仕事をするようになりました。
東京の三軒茶屋で一人暮らしをしながら、新宿で仕事をすることになりました。
三軒茶屋は、渋谷に大変近い都会の町です。
そんな都会にも、探せば自然を大切にした公園や道がありました。
世田谷区民たちが自然保護の活動をしたり、わざわざ自然を作ったりしています。
そのため、世田谷は都会にもかかわらず、古い神社・公園・街並みなどが残っています。
しかも、人々が楽しむ専用の散歩道まであるのには、実際住み始めてから知り、驚かされました。
私は、新宿にある超高層ビルの31階で仕事をすることになりました。
31階から眺める眺望は、まさに絶景です。
東京はまさに、ビルばかり。
と思っていると、ビルの中に大きな大自然があるではありませんか。
「新宿御苑」と「明治神宮」です。
調べたところによると、新宿御苑は58万平行メートル。
東京ドーム、およそ12個分の広大な敷地です。
明治神宮の敷地は、東京ドーム、およそ15個分とのこと。
その敷地内に、なんと17万本もの木があるそうです。
都会には十分すぎるほどの、自然です。
そうこういくつかの大都会を見ているうちに、ふと、気づきました。
大都会ほど、必ず大自然があります。
なぜ大都会ほど、大自然があるのか。
おそらく人間の心のどこかには「自然が原点」という本能があるのでしょう。
私たち人間は、自然の中にいると、ほっとします。
癒されます。
目には見えませんが、そういう自然を求める力が働いているようです。
人が誕生した生まれ故郷のような感覚が、本能に眠っているからに違いありません。
そのため大都会だからこそ、自然を求めようとする力が、反するように強くなります。
だからこそ、大都会ほど大自然が存在すると考えられます。
ニューヨークのマンハッタンや東京の新宿ですら自然がありますから、ほかの都会でも、探せば必ず自然はあるはずです。
「都会には自然がない」という話は、半分は本当ですが、半分は嘘です。
都会にはたしかに自然は少ないですが、探せばきちんとあるはずです。