ばたばたばた!
飼っている猫が急にダッシュして、部屋中を駆け回り始める。
「どうしたのだろう。何事だろう」
何かの不安に駆られて、焦っているように見える。
しばらく経つと、立ち止まって、何をするのかといえばトイレ。
用を足せば、また勢いよく走り始め、しばらくするとようやくいつもの様子に戻る。
こうした不思議な光景を見たことはありませんか。
トイレに行く直前、もしくは直後に、猛ダッシュをする習慣を持つ猫がいます。
この動作は、どのような意味があるのでしょうか。
これは野生時代からの名残といわれています。
猫は用を足すために自分の巣から出た後、急いで遠くへ走っていきました。
自分のすみかを、ほかの動物に気づかれないようにするためです。
のんびり巣から出ているところを目撃されると「こいつの巣はここにあるのか」とほかの動物に気づかれてしまいます。
生命の危険に直面する恐れがあります。
そこで猫は、走り続けているかのように、トイレのために巣から出るや否や走り始めます。
巣から遠く離れた場所まで行き、周りの安全を確認してから、ようやく用を足します。
用を足した後、できるだけ自分のにおいを残さないように後ろ足で丁寧に砂をかけ、においを消そうとします。
敵に気づかれたり襲われたりする前に、ダッシュをしてその場を立ち去ります。
こうした野生時代から培った安全意識が本能に刻み込まれ、現代でもいまだに体が自然と反応しています。
もちろん飼い主と一緒に過ごしていますから、猫の単なる取り越し苦労です。
注意したいのは、やめさせたいと思った飼い主が、猫を追いかけたりかまったりすることです。
追いかけられたりすると、逆に猫は本能を刺激され、やめるどころか悪化する場合があります。
この動作をやめさせたければ、しばらくほうっておけば、自然とやめるはずです。
対策というほどの対策でもありません。
猫が「飼い主との生活は十分に安全だ」と安心させればいい。
飼い主との信頼関係を結べるにつれて「こんなことは意味がないな」と気づき、自然とやめるようになるはずです。