猫をじっと観察していると、ときどき口の周りをなめることがあります。
食事中にするなら、口の周りについた食事のかすなどをなめているのだろうと思います。
しかし、食事でも何でもないときに、口の周りをなめるのは不思議な行動です。
そういう光景を見たことはありませんか。
どういう意味があるのでしょうか。
これは「転位行動」の1つといわれています。
転位行動とは、相反する考えが衝突し、考えがもつれたときに出てしまう行動のことです。
人間にも転位行動があります。
たとえば、困ったときに、つい頭をかいてしまうのも転位行動の一種です。
「どうしよう」と心のもつれを紛らすために、つい頭をかいて心の動揺を落ち着かせようとします。
猫が口の周りをなめるのも、転位行動です。
先ほどの猫なら「おなかがすいたなあ。でも動くのはおっくうだ」という2つの相反する考えが衝突しているのでしょう。
「どうしようかな」と判断に迷って考えがもつれてしまうときに、つい口の周りをなめてしまいます。
このほかにも、いくつか転位行動には種類があります。
こうした意味不明な様子を見かけたら、何か考えをもつらせているのかもしれません。