親が教育者であるほど、陥りやすい罠があります。
「コミュニケーションの偏り」です。
親と子のコミュニケーションの基本的な流れは、やはり「親から子へ」という流れになります。
教育しますから、知っている側が知らない側へと教えるのは自然な流れですね。
学校で授業中、話す量が多いのは先生ばかりです。
生徒は先生の話を聞いてばかりになります。
話してばかりの先生と、聞いてばかりの生徒。
この関係は親子でも同じです。
親のほうが物事をよく知っているので、子どもにあれこれと教えるため、親のほうが話してばかりになる傾向が強いです。
話してばかりの親と、聞いてばかりの子ども。
特に親が教育者であるほど熱心になり、コミュニケーションの偏りが大きくなります。
その自然な流れが強くなりすぎて、親が話してばかりで、子どもが話す機会がない場合があります。
親が「ああしなさい、こうしなさい」と一方的なコミュニケーションに対して、子どもは「はい」「わかった」と答えるしかない。
これは、本当のコミュニケーションを交わしているとは言えません。
本当のコミュニケーションは、お互いがきちんと会話のキャッチボールができていることをいいます。
親は自分ばかりが話しすぎていないか、自己チェックしてみましょう。
往々にして、子どもにいい子に育ってもらいたい気持ちが大きいほど、親からの一方的な会話になりがちです。
親が厳格な教育者ほど、自分は正しいという考えが強く、この傾向が見えなくなります。
では、こういうとき、どうすればいいのでしょうか。
単純な言葉で解決します。
「あなたの話を聞かせて」という言葉です。
何の話かは大きな問題ではありません。
学校のことでもいいです。
友人のことでも勉強のことでも悩みでもいい。
ささいな話題から会話が始まれば、おのずから話の輪が広がっていくことでしょう。
大切なことは、親から積極的に子どもの話を聞く姿勢を持つことです。
偏りがちな「親から子へ」のコミュニケーションを、逆に「子から親へ」と修正し、バランスを整えます。
難しいことではありませんね。
話を聞いているときも、子どもの話を折ったりせず、すべてを包み込むような聞く姿勢を持ちましょう。
こうして親子のコミュニケーションのバランスが整うのです。