親によって、口癖もさまざまあることでしょう。
実は、親の口癖は、親の人生哲学です。
これまで何十年も生きてきて「これが一番大切だ」というエッセンスを、見事一言に凝縮した金言です。
だからこそ口癖になっています。
しかし、往々にして子どもは軽く考えてしまいます。
「うるさいなあ」で終わらせ、聞き流してしまいます。
親の口癖の真意をわかっていない。
単なる小言にしか思っていない。
あなたの親にはどのような口癖がありますか。
少し思い出してみましょう。
私の親にも口癖があります。
子どものころから何度も耳にタコができるほど聞いてきたので、しっかり耳に残っています。
私が気に入っている、親の口癖の1つがあります。
「自分の好きな道を選びなさい」
これまでのさまざまな場面で、最も頻繁に言われた親からのアドバイスです。
父からも母からもです。
人生には選択の場面があります。
中学のとき、どんな部活動に入ろうかと迷ったとき。
高校のとき、理系か文系で迷ったとき。
受験時代に進路を決めようとしたとき。
高校を卒業して海外留学を相談したとき。
いつも返ってくる言葉は「好きな道を選びなさい」でした。
必ずそう言いますし、それしか言いません。
若いころは「そのとおりだ」「また同じこと言っている……」「だからどうした?」くらいにしか考えていませんでした。
何気なく聞いていた言葉です。
何度も耳にタコができるほど言われてきたので、イントネーションまで真似ができるほどです。
まだ親の言葉の重みを、私は噛み砕けていませんでした。
しかし、自分が成長するにつれて、この言葉はとても含蓄のある言葉であると気づきます。
「自分の好きな道を選びなさい」というのは、まさに成功哲学です。
今、私は好きなことをしています。
親が何度も口にしていたので、いつの間にかDNAレベルまで哲学が染み込まれています。
さすが何十年も生きているだけあり言葉に重みがあります。
「好きな仕事を選べば、毎日が楽しくなり、やりがいも出る」
「好きなことだから集中力が身につくし、根気も出る」
「好きなことは能力も伸びやすい」
こうしたさまざまな意味が込められています。
これまで父や母が何十年も生きてきて、大切だと感じたエッセンスがまさにこの一言の口癖に圧縮されています。
言葉は一言でも、含まれる意味は膨大で奥が深い。
そういう親の哲学を、言葉として子どもに伝えてあげましょう。
子どもの身近にいる親が口にすると、その影響も伝えやすいのです。