大人になるにつれて、自分の利益を考えるようになり、執着するようになります。
お金・土地・人間関係など、目に見えることにとらわれます。
ほとんどの人々が、自分の利権にしがみついています。
「自分の利益になることはOK。不利益になることはNG」
こういうことから問題が発生します。
一歩も譲ろうとしません。
そのために、多くの争いが生まれています。
理想的な解決方法は、もちろん「WIN&WIN」です。
これはすでにご存じですよね。
お互いにとって、プラスになる解決方法があれば、話はすぐ進んで問題解決しますね。
しかし、何でもそう簡単にWIN&WINになるような話はありません。
WIN&WINの解決方法ばかりに執着していると、思わぬ落とし穴に陥ります。
自分にとって利益がないことは、いつまでも問題が解決しないまま、長期戦になってしまいます。
問題の内容によっては、どちらかが痛みを感じないと絶対に解決できないこともあります。
これではいつまで経っても解決はできません。
仲たがいが続けば、これからもずっといがみ合いが続くことでしょう。
その間はお互いが痛みを与え続けてしまいます。
痛みを長く感じ続けることになるので、最も大きく痛みを味わっていることになります。
悲しいかな。
痛みを避けた選択が、結果として一番痛みを感じてしまう選択へとなります。
問題内容によっては、永遠に解決しないものもあるかもしれません。
問題解決では「WIN&WIN」による解決方法と、もう1つ特別な方法があります。
「譲歩」です。
初めからプラスを求めない。
まずマイナスを感じてから、プラスに転じる方法です。
これが大切です。
あえて自分の主張を引っ込め、他人の意見を飲み込んでみる。
あえて自分が面倒な役を引き受けてみる。
あえて一歩引き下がる勇気を持つことです。
当然、どちらかが痛みを味わうことになるでしょう。
面倒が発生したり、肉体的・精神的・金銭的な痛みが発生したりするはずです。
しかし、その一度の痛みで問題が解決すれば、実は最も小さな痛みになります。
一度の面倒で、丸く収まる場合があります。
それが「大局的な目で見た判断」ということです。
器の大きな人なら、そういう度量の広い選択ができるはずです。
問題に囲まれ身動きが取れなくなったとき、いま一度、そういう見方を思い出してほしい。
一度の痛みを受け入れることで、解決できる痛みがあるのです。