あなたは友人と食事をしたとき「割り勘」にするタイプですか。
それとも「おごり」にするタイプですか。
これはどちらも正解です。
どちらも間違っていると言えます。
時と場合、相手によって、答えは変わるからです。
たとえば、あなたが上司で、相手が部下だとしましょう。
この場合は、おごるほうがいいでしょう。
いえ、おごりのほうが自然です。
部下に上司らしい態度を取るのは自然です。
部下もおごってもらえることをひそかに期待しています。
上司は上司らしく振る舞い、部下は部下らしく振る舞うことで、人間関係の摩擦は小さくなります。
立場の高い人間がおごり、立場が低い人間がおごられるのは、差がありながらも実はちょうど釣り合いが保たれています。
自分と相手との間に「明らかな上下関係」が存在するときには、有効です。
しかし、友人関係のような「対等な関係」の場合はどうでしょうか。
そもそも友人との間には、上下関係や地位の差はありません。
同じ立場です。
友人との間ではおごりになると、嬉しい気持ちがある反面「借りができた。お返しをしなければ」と思います。
わずかではありますが、借りができます。
おごった側の発言が有利になり、おごってもらった側の発言権は小さくなります。
態度も、おごった側が偉そうになり、おごってもらった側は低姿勢になります。
すると、せっかく同じ立場である友人関係に上下関係という亀裂を生みかねません。
あえてわかりやすい例を挙げました。
ほかにもさまざまな状況が考えられるでしょう。
年齢・性格・お互いの経済状況・雰囲気など、さまざまなことが絡み合っています。
状況に応じて「おごり」と「割り勘」は、どちらも正解であり、どちらも不正解でもあります。
スムーズな人間関係では、この臨機応変が必要です。
「おごるほうがいい」「割り勘にするほうがいい」という、白黒はっきりした問題ではありません。
時と場合、相手によって、答えは変わるということなのです。