勝負には、勝ち負けがあります。
勝つとわかれば戦いに挑み、負けるとわかれば戦いを避けるのが、普通です。
勝つとわかっている戦いは、勇気がなくても、堂々とできます。
実力が上であるため、相手をすっかり打ち負かし、気持ちいいでしょう。
一方、負けるとわかっていれば、逃げるのみです。
わざわざ自分から負けにいっても、惨めな思いをするだけです。
野生動物ですら、負けるとわかれば、ためらいなく逃げます。
しかし、人間は違います。
人間の場合、負けるとわかっていても、挑まなければいけない戦いがあります。
たとえば、妻が、5人のちんぴらに絡まれたときです。
夫は、負けるとわかっていても、命懸けで助けなければいけません。
1対5では、勝負の結果が目に見えています。
たとえ結果が目に見えても、やはり愛する人をほうってはおけないのです。
人間しかできない、特殊な行動です。
「勝つから素晴らしい。負けるから惨め」とは限りません。
たとえ負けたとしても、愛する妻を助けようとする夫の行動には、価値があります。
「どうしても譲れない」というのは「そこに本物の愛がある」ということです。
譲れないことがあるから、その人は幸せです。
人生には、負けるとわかっていても、挑まなければいけないことがあります。
そこで、あなたの気持ちが試されるのです。