私の父には、ある口癖があります。
「要領が悪い」という口癖です。
この口癖には「段取りをよくしろ」という意味が込められ、また私の父の哲学がこの一言に圧縮されています。
計画を立てると、効率よく進めます。
限られた時間の中でやりたいことをやるためには、要領よくこなすことが大切です。
やりたいことを要領よくやったほうが、もちろん早く成功できます。
私のおじいちゃんは、大工をしていました。
大工という仕事は、実はあまり儲かりません。
しかし、父は、少ないお金で少しでも効率よく人生を渡っていこうと、おじいちゃんの少ない稼ぎから大阪の大学まで進学しました。
これはなかなかできることではなく、大きな出世ということになります。
限られた時間とお金を有効に使うことがいかに大切であるか、父は人生の中で学び、いつしか口癖へと変わっていったのです。
父は、要領よくやっていくという哲学を、人生の中で学んだのです。
父の口癖の「要領が悪い」は、今まで父が経験した要領の大切さが込められた一言なのです。