できる人は、無理をしません。
疲れたらしっかり休憩して、疲れを取ります。
話を聞けば当たり前であることですが、これをしっかり実行できている人はなかなかいないのです。
日本人は「無理をする」という言葉が大好きです。
「無理をしない」と口では言っても、無理をすることがかっこいいことだという意識があり、日常でも無理な行動に出ています。
倒れるくらいまで一生懸命になることが、かっこいいことだと思っているのは世界の中でも日本人くらいです。
私の母は、朝、仕事へ行って昼に帰れば、すぐ寝ています。
理由を尋ねてみると「疲れているとやる気が出ない。仕事もはかどらない」と言います。
1時間くらい寝たら、ぱっと起きて、また仕事を始めます。
母はこのサイクルが、毎日リズムよくできていました。
私は母と違って、10代のころは疲れても、無理をして勉強してしまうタイプでした。
寝ることや休むことに、罪悪感があったのです。
しかし、休憩を取らずに無理をしても、勉強がはかどりません。
全然頭が回らずもやもやし、しっかりした勉強ができないのです。
あるときから私も母と同じように、昼には昼寝をする習慣に変えてみました。
するとこれが思ったより効果があり、驚いたことを覚えています。
たった10分だけの睡眠でも、驚くほど疲れが取れるのです。
体の疲れが軽くなるのではなく、頭の疲れが軽くなるのです。
ある医学界での発表によると、昼の10分は夜の1時間に相当するといいます。
今、私は昼寝を習慣にしています。
おかげで午前中にたまった疲れを取ることができるようになりました。
イタリアでは「シエスタ」という昼寝の習慣があります。
仕事の昼休みには、なんと、みんなが昼寝をします。
休憩をしっかり取ることで、午後からも生き生き仕事ができるようになるからです。
しかし、実際、世界のビジネスは、アメリカの習慣が中心に動いています。
もし世界のビジネスがイタリア中心で動くようなことになれば、世界中が昼寝をすることでしょう。
アメリカ中心のビジネスで成り立っているからには、仕事で昼寝をするわけにもいきません。
世界の昼寝の習慣はさておき、大切なことは疲れたときにはきちんと休むことです。
昼寝が難しければ、1杯のコーヒーを飲んで、一服することでもかまいません。
もちろん目を閉じるだけでも効果があります。
疲れることが悪いことだと言っているのではありません。
疲れをため込み、そのまま放置していくことがいけないことなのです。