異物は貴重な存在です。
その異物は自分にとって反発を感じるから、異物と感じるのです。
異物が入ってくれば「むかつく」と表現します。
「むかつく」という言葉の本来の意味は、胃の調子が悪いときに吐きそうな気分になるということです。
胃がむかむかする感覚が、気分を害していらいらしたときの感覚に似ているため「むかつく」という言葉が生まれました。
若い人たちは「むかつく」という言葉を頻繁に使います。
自分の気に入らないことがあれば気分が悪くなって「むかつく、むかつく」と眉間にしわを寄せます。
むかついて吐き出すのでは、成長がありません。
むかつくのではなく、逆に飲み込んでほしいのです。
むかつくほどの異物だからこそ、それを消化できるようになれば大きく成長できます。
心の中にためるのです。
もちろんそのむかつきを消化するためには、時間がかかります。
1日で消化できるときもあれば、10年以上かかるときもあります。
むかついている度合いに応じて、消化するために必要な時間が変わります。
自分にまだ消化能力が備わっていないから、時間がかかってしまうのです。
時間はかかってもかまいません。
むかついて吐き出すのではなく、心の中にため込みながら、ゆっくりでもいいので消化できるようになりましょう。
とある人生経験がきっかけで、できなかった消化ができるようになります。
私は昔、親の口癖によくむかついていました。
母の口癖は「話を最後まで聞きなさい」という言葉です。
以前の私は、それを聞いてむかついていました。
ところが、留学の経験がきっかけで変わりました。
飲み込んで消化できるようになりました。
大切さが理解できるようになったのです。
口癖の意味を理解できるようになったとき、私の中のむかつきはすっと消えていったことを覚えています。
親ががみがみ言っていたのは、人の話を聞くことの大切さをわかってほしかったから、がみがみ何度も言っていたのです。
耳にタコができるくらい聞くことで、潜在意識まで言葉が深く入り込んでいきます。
親の「がみがみ」が、子どもである私をいつの間にか洗脳していることに気づきませんでした。
異物が入ってきたときは、自分にとって必要な要素である場合がほとんどです。
聞いたそのときはたしかに強いむかつきを感じることでしょう。
しかし、時間をかけてゆっくり考え、いろいろな人生経験を積んでいくうちに理解ができるようになります。
今は未熟であるため、むかつきが消化できないだけです。
いずれ、自分の力で消化できるようになるときのために、たくさんむかつきをためておきましょう。
今は消化できなくてもいいので、とりあえずむかつきを飲み込んでしまうことです。
消化できる日が来るまでたくさんためて、いつの日か消化できれば、一気に成長ができます。
大人になって立派になった人には、子どものころは不良だった人たちです。
そんな人は、子どものころにたくさんのむかつきを経験した分、大人になってから理解ができるようになったのです。
その分、大きく成長できた人たちなのです。
大器晩成には、若いときにたくさんのむかつきを飲み込んでおくことで、後から大きく成長ができるのです。