犬と一言で言っても、その種類は実にさまざまです。
非公認の種類を含めると、全世界で1,000種以上あるといわれています。
犬は、猫に比べて大変種類が多い動物です。
そもそも犬も猫も、約5500万年前にミアキスという動物が共通の祖先です。
共通の祖先であるにもかかわらず、なぜ犬は猫に比べて種類が多いのでしょうか。
その理由は、人との関わり方にあるようです。
犬は猫に比べ、大変古い時期から人との付き合いが始まりました。
人との生活に密着するにつれて、人の目的に応じて犬の品種改良が行われていきました。
たとえば、体が大きく力が強い犬と言えば「ドーベルマン」です。
重い荷物を引っ張るための作業犬として育てられたため、体が大きく、筋肉が発達している犬種として改良されました。
足の短い犬といえば「ダックスフント」です。
なぜ足が短いのかというと、穴の中に住むキツネやアナグマなど、小型の動物を捕まえるための猟犬として育てられたためです。
小さくてもよく吠えて、穴掘りが大好きな犬と言えば「テリア系の犬」です。
ほかの犬に比べて、特にテリア系の犬は、ささいなことで吠えますし、頻繁に穴を掘りたがります。
ネズミ、ウサギなどが潜んでいる地面の穴を広げるために土を掘り、吠えることで驚かせて穴から追い出す仕事をしていたためです。
その名残があるため、ほかの犬に比べてよく吠えますし、よく穴掘りをしたがります。
ちなみに「テリア」の語源である「terra」は、ラテン語で「大地」を意味します。
大地をよく掘るので「テリア」という名前が付けられました。
平面の顔が特徴の犬といえば「ブルドッグ」です。
なぜ、顔が平面なのかというと、平面の顔のほうが象やシカなど大きな動物に噛みつきながら呼吸ができるためです。
小さい体でも、噛みつきながら呼吸ができるので、獲物を仕留めやすくなります。
小さくてふわふわした体毛が特徴といえば「パピヨン」や「シー・ズー」です。
小さかったり、ふわふわだったりしているほうが、人にとって手触りがよく親しまれやすいため改良されました。
人を癒したり元気づけたりするのが目的として改良された愛玩犬です。
人が犬に求める目的が多様化した結果、作業犬・猟犬・愛玩犬など、犬の種類も多様化していきました。
犬が多様化した本当の原因は、私たち人間です。
犬を飼うときには「おとなしいほうがいい」「かわいいほうがいい」「毛が少ないほうがいい」という希望があることでしょう。
しかし「小さいほうがおとなしいだろう」という先入観で犬を飼い始めると、小さくてもよく吠えて困ることもあります。
特にポメラニアンは、小柄でも、驚くほどよく吠えます。
こうした犬のルーツを探り、あらかじめ犬の特徴を参考にすれば、生活にあった犬が見つかりやすくなるでしょう。