室内で、犬と一緒に生活をしていると、なにやら感じることがあります。
犬からの熱い視線です。
たとえば、テレビを見ていると、犬からの視線を感じたので振り向くと、すぐ視線を外される。
「気のせいかな」
そう思って、またテレビに顔を戻してしばらく経つと、また犬からの視線を感じ始める。
犬のほうを振り向くと、犬はまたすぐ視線を外す。
飼い主が見ようとしないときは見るくせに、飼い主が犬を見ようとするときには、犬は視線を外す。
こればかりではありません。
大好きなペットと見つめ合おうとすると、なぜか顔をそらされてしまう。
そんなやりとりをしたことがあるのではないでしょうか。
人間同士が見つめるときといえば、お互いが好印象を抱いているときです。
友人同士や恋人同士などが見つめる光景をよく見かけることでしょう。
では、飼い主と犬の場合も同じかというと、そうではありません。
むしろ逆です。
視線を外される場合がほとんどです。
飼い主と犬との理想的な関係は「同等の関係」ではなく「上下関係」があることです。
飼い主が主人であり、犬が従者という「主従関係」がしっかりしていることです。
その主従関係がしっかりしているからこそ、飼い主の言うことを聞きますし、しつけもできます。
主従関係がはっきりしている場合、犬から視線を外されるのは当たり前です。
たとえば、あなたが小学生のころ、担任の先生からじっと見つめられたときを思い出しましょう。
先生のほうが立場は上で、生徒のほうが下になります。
権威のある担任の先生からじっと見られると、気まずさから、つい視線を外してしまったことがあるでしょう。
会話中に見つめるくらいならいいですが、立場の高い人からじっと見られると、気まずさを感じて視線をそらしてしまうはずです。
これと同じ状態が、飼い主と犬との関係です。
飼い主が犬をじっと見つめようとするときに、視線を外されるのは、そういう主従関係からくる威厳の強さが原因です。
決して飼い主のことを嫌っているわけではありません。
飼い主と犬との健全な主従関係が構築されている証拠です。
このことを知っていると知らないのとでは、大違いです。
心配しなければいけないのは、逆のパターンです。
もし、飼い主と犬とがずっと見つめ合っていれば、犬は飼い主に対して優位を感じている可能性があります。
飼い主と犬との主従関係が逆転になっている可能性も考えられます。
お互いが見つめ合うというのは理想的のように感じますが、実は見つめられないほうがちょうどいいのです。