私の実家で飼っている雑種犬は、ときどき夜中に不思議な行動をします。
突然、遠吠えを始めます。
「わんわん」という吠え方ではなく「わおーん」という伸ばした吠え方です。
しばらくすると、ほかの家庭で飼っている犬まで「わおーん」と遠吠えを始め、合唱が始まります。
頻繁に見かけるわけではありませんが、まれにそういうことがありました。
屋外で犬を飼っている飼い主なら、同じようなところを目にしたことがあるのではないでしょうか。
これは、どのような意味があるのでしょうか。
実はこの遠吠えは、孤独に弱い犬だからこそする習性です。
犬が野生だったころは、集団で行動していました。
群れからはぐれてしまったとき、本来の群れの位置と自分の位置を把握するために、お互いが遠吠えをし合ったといわれています。
しかし、初めは位置を確かめるためだった遠吠えが、次第に「寂しさを和らげるため」へと役目を変えていったと言われます。
1人になったとき、寂しさに耐えきれなくなり「寂しいよ。ほかに誰かいないかい」と遠吠えをした。
その声を聞きつけたほかの犬が「大丈夫だよ。俺はここにいるよ。君は1人じゃないよ」と、慰めるために吠える。
このように寂しさを紛らしたり、慰めたりするために、遠吠えをするようにもなりました。
この名残が現代でも続いています。
遠くで聞こえた遠吠えはもしかしたら、その家はご主人の帰りが遅いのかもしれません。
もしくは、あまり飼い主から相手にされていない可能性もあります。
そうした寂しさに耐えきれなくなり「寂しいよ。おーい。ほかに誰かいないかい」と寂しさを紛らすために、遠吠えをした。
その声を聞きつけたほかの犬が「大丈夫だよ。俺はここにいるよ。君は1人じゃないよ」と、慰めるために吠える。
遠吠えを聞きつけたほかの犬も2次的に反応して、しばらく遠吠えの合唱が続くと考えられます。
場合によっては、何十匹もの犬が一斉に遠吠えをしているようです。
自分が孤独に弱いからこそ、寂しがっているほかの犬を積極的に慰めようとしているのです。