私は休日、1人で動物園に行くことがあります。
1人で動物園に行くのも珍しいと思います。
特に、東京の上野動物園にはよく行きます。
大きな動物園なので歩くのは疲れますが、動物たちと見たり触れ合ったりしているうちに疲れが取れます。
不思議な感覚です。
動物園は、心を浄化してくれます。
ただ動物たちを見て「かわいいなあ」と思う以外に、何か感じるものがあります。
動物たちと見たり触れたりすることで、特別引き寄せられるものがあります。
人としてルーツを発見したり原点に返ったりできる気がします。
動物園には、野生から連れてきた数多くの動物たちが集結しています。
本当のことを言えば、もともとは人間も野生から誕生した生き物です。
はるか昔、まだ人類が猿だったころは、野生の森の中で暮らしていた時期がありました。
動物園は、そういう「人として」ではなく「動物として」考えさせられる場所です。
人間は喜んだり怒ったりしますが、動物たちも同じようなしぐさを見せます。
「野性的」というのは「素である」ということです。
動物園の中で、動物としての素の姿を数多く見ているうちに、人間としてのあり方をいろいろ考えさせられます。
大きなカバが、ぐっすり眠っていました。
とっさに「いいなあ」と思ってしまう。
次の瞬間「なぜ今、自分は『いいなあ』と思ったのか」と思います。
気ままに寝ているカバを見て、潜在的に「自分も人間関係のしがらみから抜け出し、野性的になりたい」と自分を発見します。
動物園で、多くの動物たちを見ているうちに、動物としての野性的本能が目覚めてきます。
こんなふうに動物たちを見ているのも、私くらいだと思います。
たくさんの動物を見られたり触れられたりできる場所ですが、哲学ができる場所だと思うのです。