ある日、私は久しぶりに風邪になったので、病院に向かいました。
病院の待合室で待っているときのことです。
平日とはいえ、大勢の人がたくさん来院していました。
その中で、子どもを連れた親と出会いました。
おそらく子どもが何かの病気で、順番待ちをしていたのでしょう。
病院は待たされる時間があります。
病院といえば、何か不思議な雰囲気があります。
その不思議な雰囲気に、子どもはどきどきしているのか、走ったり騒いだりしていました。
それこそ「本当に病気なのか」と疑いたくなる元気さです。
病院の慣れない雰囲気が、病気を吹き飛ばすほど新鮮だったのでしょう。
そういえば、私も小さいころ、同じような状況だった記憶があります。
叫んだり、騒いだりするのは、子どもの仕事です。
そんなときです。
親は騒いでいる子どもに対して、こう言いました。
「うるさい!」
それはもう病院中に響き渡るほどの大きな声でした。
驚いたのは、子どもばかりではありません。
待合室で待っている人たちも飛び上がらんばかりの表情でした。
「うるさい子どもを黙らせようとした親のほうがうるさいよ」
おそらく誰もが心の中で、そう思っていたに違いありません。
こういうことはよくありがちです。
親の気持ちも、理解はできます。
騒ぐ子どもに腹が立った勢いで「うるさい!」と怒鳴ってしまったのでしょう。
しかし、大声で「うるさい!」という言い方は、まったく教育になっていません。
発言にとげがあり、親が怒っているように見え、怯えてしまうでしょう。
少しだけ言い方を変えればいい。
もし「うるさい」と言いそうになったら、代わりに小さな声で「静かにしましょう」と言いましょう。
言わんとしていることは同じです。
ほんの少し言い方を変えるだけですが、子どもが受ける印象はまったく異なります。
「うるさい」という言い方は、感情をぶつけているだけですが「静かにしましょう」と言われると言うことを聞きやすくなります。
周りの人たちにも、迷惑をかけない言い方です。
感情をぶつけた教育はやめて、落ち着きのある教育を施すようにしましょう。